元彼×今彼＝方程式の答え【凪 誠士郎】

時だけは戻せない ページ16

「Aと同じ靴があったからさ」



「…俺の家にAが来たって言いたいの？」








俺は少し強気で玲王に問う。
ここで「そうだよ、だから別れて」って言う事も出来たけどそれはしなかった




Aをまた(・・)泣かせてしまうのが目に見えたから






「いや、そんなんじゃねぇよ」






「Aがそんなことするわけねぇしな。それよりお前、彼女いんなら言えよな」






……なんかややこしい事になった






玲王はAの靴を別の女の子の靴だと思ってるのはいいとして




俺に彼女がいることになってしまったみたい




まぁAの疑いが晴れるならいいけど
従姉妹ーとか適当に考えて誤魔化せばよかったんだろうけど




玲王は紹介しろよーってうるさいし



「俺の彼女、俺以外とは会いたくないんだってさ」


「マジで？人見知りってやつかよ」


「そー、」



否定と肯定なら否定の方が面倒臭いから取り敢えず適当に話を合わせる



「Aにはさ、俺告白した時１回振られてるんだよな」





「過去に付き合ってた奴が忘れられないんだと」





ドクンって玲王にも分かるくらい自分の心臓のポンプ音が分かるくらいの音がした気がする




「だから付き合えないって言われたんだよな」


「…ふぅん」



「Aと付き合うのも苦労したんだぜ。」



「へぇ」



興味無いわけじゃない。ただ、この話は俺にとって気分のいい話ではなかった。だってAと別れたあの日を思い出すから



「キョーミない」


「んだよ、ま、いいや。朝練急ごうぜ」




あの時、随分後悔したはずだった。
でもあの時の後悔よりももっと、もっと別れを告げた事を悔やんだ



俺だって、好きだった



だけどもう俺のものじゃない



「凪！」



二度と俺の所へ帰ってこないって分かってるから
体だけでも繋がってたいって、クソ野郎みたいな発言


理由も言わずに一方的にフッてAを失った代わりに最低の称号を手に入れた



最低の上にクソ野郎


玲王はいいな。羨ましいよ。
俺だってAともう一度隣にいたいよ




テストで間違ったら消せるみたいに





時ってなんで簡単に戻せないんだろう

凪より前の宝物 (過去編玲王1)→←追い詰められた悪人ってこんな気持ちか

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す