第二十二話 ページ25
刀を振るうのが苦手だった。
長いし、斬れるものと斬れないものがあるし、邪魔にさえなると思っていた。
それでも、俺はまた半年……握り続けた。
貴方「……錆兎は本当に凄いな」
錆兎「……」
錆兎と闘って、適わなかったAは背を向ける錆兎にそう言った。
Aのその言葉に、ピタリと歩いていた足が止まる。
お互い息も上がってなく、星と月が山の中に明かりを灯す中、Aはゆっくりと立ち上がった。
貴方「どうしてそんなに強いんだ?」
錆兎「……鱗滝さんが俺を鍛えてくれたからだ。あの人が、俺という男を強くしてくれた」
狐のお面のせいで、今どういう表情をしているのかは分からないが……声色は何時もより少し透き通っていた。
切ないような、悲しいような、そんな声色だった。
貴方「俺も……、錆兎の様に強くなりたいと思っている」
錆兎「……お前は」
錆兎はゆっくりと振り向き、Aの前に立ち、そしてそのまま人差し指で、彼女の心臓あたりをさした。
錆兎「なんの為に強くなる」
貴方「……!」
錆兎「ただ鍛えるだけでは、お前の刀は俺に届かない……。
お前は……なんの為に"強くなり"、なんの為に"生きる"んだ」
錆兎の指先には自分の心臓。
____刀を振るうのが苦手だった。
それでも俺が、半年間も肌に離さず握り続けたのは……。
そう、か________
______それでも俺が、この修行を耐え抜いていけるのは……、炭治郎と禰豆子を人間に戻し、守り続ける為だった。
貴方「……禰豆子と炭治郎を人間に戻すこと。
それが……、今の俺が強くなれる理由だ」
錆兎「……そういう事だ」
貴方「……!」
まるで、炭治郎と禰豆子を知っているかのようにそう答えた錆兎に、Aは目を見開いた。
錆兎は腕を下ろし、Aに背を向けたまま歩き出す。
錆兎「満月になる日、またここに来るんだな。
……今度は、覚悟を決めろ」
貴方「……」
そう言って、白い霧と共に消えてしまった錆兎。
Aはそっと、鞘に収まっている刀を強く握った。今度こそ、錆兎に勝てるように強く願いながら______
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もこ(プロフ) - 初コメ失礼しますね!私逆ハー大好物なので嬉しいです!鬼滅の刃のキャラ全員推しなので嬉しいです!更新頑張ってくださいね! (2023年4月14日 21時) (レス) id: 3b02df20c8 (このIDを非表示/違反報告)
アツナ(プロフ) - ひゃくまるさん» 許可もらった!!嬉しいです!!ありがとうございます!頑張ります!!(`・ω・´) (2019年8月25日 10時) (レス) id: 42ca496839 (このIDを非表示/違反報告)
ひゃくまる(プロフ) - ありがとうございます!ぜひぜひ、使って下さい!もうすぐ続編なんですね、楽しみです(* ̄∇ ̄*) (2019年8月25日 9時) (レス) id: 057beedb8c (このIDを非表示/違反報告)
アツナ(プロフ) - 上手すぎて目眩がッ!!ありがとです!(興奮)もうすぐ続編なので、使わせてくださいッ! (2019年8月25日 2時) (レス) id: 42ca496839 (このIDを非表示/違反報告)
ひゃくまる(プロフ) - http://uranai.nosv.org/img/user/data/2/9/d/29de397f5bb1d59cf9a14e1c54b4764a.pngできましたので貼っときます!作者さんイラスト上手いので気に入るかわかりませんが(^-^; (2019年8月24日 18時) (レス) id: 057beedb8c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユキ | 作成日時:2019年8月13日 3時