第二十三話 ページ26
______
_______
__________
チラチラと雪が降る中、大きな岩の前にいる少年に挑みに行く少女。
長い三つ編みを揺らしたその少女……Aの前に立っている錆兎は真剣を持っていて……
錆兎「半年でようやく、"男に近づいた"な」
貴方「……今日こそ、勝つ……!!」
そう言いながら、ゆっくりと鞘から刀を出し……そして互いに構える。
Aの刀を指導した真菰は、離れた所で二人を見詰める。
真正面からの攻撃は単純だ。より強く、より早い方が勝つ____。
貴方「……すぅぅ……」
呼吸をし、肺を大きくさせる。
そしてお互いが走り出したその時……
_____一瞬で勝負は決まった。
この時……この瞬間、初めてAの刃が先に錆兎に届いたんだ。
錆兎「……」
貴方「……あ、」
Aの刃で割れた狐のお面。
真菰「……今のを忘れないで。勝ってね、A……"あいつ"にも____」
遠くから、真菰の悲しそな声が聞こえてきた気がした。
……____そして、初めて見た錆兎の顔は、優しい瞳をしながら、目を細めて、泣きそうな、嬉しそうな顔で微笑んでいた。
錆兎「____"さようなら"」
普通なら聞こえない程度の小さな声で、錆兎はそう言った気がした。
どういう意味か、聞こうとした時にはもう既に錆兎も真菰すらも居なく……ただ自分の目の前には……____
貴方「……は、ぁッ」
真っ二つに割れた、あの大きくて丸い岩だけだった。
そして後ろから聞こえてくる雪を踏む音。鱗滝さんの匂いだ。
鱗滝「……お前を、最終選別に行かせる気はなかった」
貴方「鱗滝さん……」
鱗滝は続けて"もう、子供が死ぬのは見たくなかった"と、そう言った。
鱗滝「お前に、この岩は斬れないと思っていたのだが……、……よく頑張った。A、お前は……
____すごい子だ」
貴方「……!……は、…………ッ」
そう言って鱗滝は、そっと優しい手つきで、Aの頭を撫でた。
疲れた身体も、ボロボロになった足腰も、全てが報われた気分になる。
彼女の大きな赤い瞳からは、透明で綺麗な涙が……こぼれ落ちていた。
578人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
【鬼滅の刃】累のお気に入り【累】
【鬼滅の刃】【男主】マイケルとオトモモチってだけでめっちゃ切られるけど、あい...
もっと見る
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もこ(プロフ) - 初コメ失礼しますね!私逆ハー大好物なので嬉しいです!鬼滅の刃のキャラ全員推しなので嬉しいです!更新頑張ってくださいね! (2023年4月14日 21時) (レス) id: 3b02df20c8 (このIDを非表示/違反報告)
アツナ(プロフ) - ひゃくまるさん» 許可もらった!!嬉しいです!!ありがとうございます!頑張ります!!(`・ω・´) (2019年8月25日 10時) (レス) id: 42ca496839 (このIDを非表示/違反報告)
ひゃくまる(プロフ) - ありがとうございます!ぜひぜひ、使って下さい!もうすぐ続編なんですね、楽しみです(* ̄∇ ̄*) (2019年8月25日 9時) (レス) id: 057beedb8c (このIDを非表示/違反報告)
アツナ(プロフ) - 上手すぎて目眩がッ!!ありがとです!(興奮)もうすぐ続編なので、使わせてくださいッ! (2019年8月25日 2時) (レス) id: 42ca496839 (このIDを非表示/違反報告)
ひゃくまる(プロフ) - http://uranai.nosv.org/img/user/data/2/9/d/29de397f5bb1d59cf9a14e1c54b4764a.pngできましたので貼っときます!作者さんイラスト上手いので気に入るかわかりませんが(^-^; (2019年8月24日 18時) (レス) id: 057beedb8c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ユキ | 作成日時:2019年8月13日 3時