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吹奏楽部に入部しようと思ったのは、高校に入学する一月前に行われた定期演奏会を見て心を撃ち抜かれたからだった。かっこいい。純粋にそう思った。
そんな私が三年間共にする楽器に選んだのが、ファゴットだ。木管の中でも特に柔らかい音質で、伴奏、裏メロ、時にはメロディーも担う楽器。
サックスやフルートのような華型楽器にも憧れたが、私にはそれよりも、包み込むような低音を奏でるファゴットに心惹かれてしまった。
しかし、ファゴットは運指が鬼のように難しいし、キーは多いし、音量は他の楽器に負けてしまうし、なにかと癖ありで音階を吹けるようになるのにもかなり時間を要した。
FからGのスラーもこんなことできるか！と投げ出してしまいそうだったな。
その時に比べると、吹けるようになったんだ、私。そうか、もう入部してから二年か。気づけば高校三年生、最後の高校生活。
そして、最後のコンクール、私たちの集大成をホールで演奏できるはずだったのに。
過去二年、県大会での結果は銀賞。今年こそは、金賞を取る。私たちの学年で、私の演奏で。
みんなで頑張ってきた。一年生の時から。ずっと、ずっと。
今年の三月に開催される予定だった定期演奏会も中止になった。悔しかった。
一年生の時の定期演奏会で、自分たちで作り上げたステージで演奏する高揚感を知ったから、知ってしまったから。
どうして私たちの学年で、その高揚感を味わうことが出来ないんだ。定期演奏会が中止になった時は、やり切れない気持ちが膨れ上がって、涙が溢れて止まらなかった。私だけではなかった。みんなそうだった。
そのやり切れない思いを、悔しい思いを、コンクールにぶつけて、金賞を取ろう。絶対に。
そう思ってたのに。
こんな形で、終わるのか。私たちの青春は。こうも、呆気なく。
頭の中で雁字搦めになった感情を無理やりしまい込むように、ケースを閉じた。目を閉じ、深く息を吐く。
勉強、しなければ。
部活動という青春の1ページが破られたと言うのに、皮肉にも受験生という立場が私の頭を現実に引き戻した。
再び、机の前で腰を据えた。日本史はもう集中出来なさそうだから、英単語をすることにしようか。そこから、ただひたすらに英単語を大学ノート書きなぐった。その間に、シャープペンシルの芯が三回ほど折れた。
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あっぷる - 私は今現在中学二年生ですが、コンクールが無くなったため三年生が今月で引退になり今練習時間も限られています。もっと先輩方に教えていただきたかったし、一緒にコンクールに出たかったです。YouTubeで色々な吹奏楽の演奏を聞いて寂しくなります。本当に辛いです。 (2020年6月14日 18時) (
レス) id: afe547f078 (このIDを非表示/違反報告)
ぺい奈(プロフ) - 暁月 織花さん» あたたかいお言葉ありがとうございます。楽器や、部活体制の引き継ぎなど、三年生に残された仕事を抜かりなくやっていこうと思います。頑張って、前を向いていきます。高校三年生、色々と大変ですがお互い頑張っていきましょう。 (2020年5月14日 22時) (レス) id: 9cc75e1e75 (このIDを非表示/違反報告)
ぺい奈(プロフ) - 私自身も、後輩たちともっと一緒に演奏したかったなと思っています。きっとふぁめさんの先輩方もそう思っているはずです。その先輩方の分も精一杯、何より楽しんで吹奏楽頑張ってください。応援しています。 (2020年5月14日 22時) (レス) id: 9cc75e1e75 (このIDを非表示/違反報告)
暁月 織花(プロフ) - 私も高校三年生です。とても共感します。一度本気で落ち込んでもいいと思います。そしたらおのずと自分ができることが沢山見えると思います。夏の結果が全てではありません。これからも頑張ってください。 (2020年5月14日 18時) (レス) id: a9b624b6b9 (このIDを非表示/違反報告)
ふぁめ - 私は中2でまだ来年があります。でも、来年があっても、今の先輩と出られるコンクールは今年の一回だったのに。コロナだから仕方ないこととはわかっていても、もっと先輩と吹きたかった。いろんなことを教えてもらって、一緒にコンクールに出たかったです。 (2020年5月14日 14時) (レス) id: 2a677516b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぺい奈 | 作成日時：2020年5月12日 23時
