もしあなたが【短編２】

F#7 ページ1

.


オフィス設定


✩*:.｡..｡.:+・ﾟ・✽:.｡..｡.:+・ﾟ✰




「おいっ」


『............』


「A」


『....っ』


「起きろ」


『ね、寝てませんよ』


「よだれでとる」


『え、うそ』


「うそ」



昼食後、暖かい陽気のせいか
つい夢の世界に入っていた。


肩を叩かれ目が覚めると
そこには隣のデスクにいる遥輝が鼻で笑っている。


起こしてくれたのは有難いけど
もう少し優しく起こして欲しい


まだ少し眠いから
眠気覚ましにコーヒー飲もう


給湯室に行くため立ち上がる



「俺も」


『なに？』


「俺もコーヒー」


『自分で入れてください』


「寝てたこと上司に報告しようかなー」


『わ、分かりましたから』


「よろしく」



寝てた私が悪いので自業自得なんだけど
こんなに眠いのは遥輝のせいでもある
だから腹が立つ


腹を立てながら給湯室に向かうと
運悪く給湯室に入る私を見つけた上司や同僚に
“ついでに俺の分も頼む”と次々声をかけられてしまい
結局ほぼ全員分のコーヒーを入れることになってしまった。




「お疲れ」


『だれのせいで』


「人のせいにすんな」


『そもそも遥輝が昨日...！』


「昨日？」


『な、なんでもないです』


「あー俺が昨日Aを寝かせてあげな『ストップ』


『それ以上は勘弁してください』


「Aが言ったんやろ」


『はぁーっ』


「幸せ逃げるぞ」



遥輝との会話でさらに疲れた


これ以上彼に歯向かう気力がないので
無視してコーヒーを口に入れる。


昨晩眠れなかった分、今日はたくさん寝よう
たくさん寝てカフェインに頼らないようにしなきゃ


マグカップを机に置くと
隣にいる遥輝が板ガムを私に差し出してきた。



『なに？』


「眠くならないガム」


『そんなのあるんだ』


「メンソールが効いて眠くならない」


『へぇー、ありがとう』



私はお礼を言ってそのガムに手を伸ばすが
ガムを掴む前に彼は差し出していた手を引っ込めた。


遥輝は周りに聞こえないよう小声で話しかけてきた



「今日も泊まっていい？」


『え』


「泊まらせてくれるんならガムあげる」


『そんな』


「どうする？」


『昨日...あんなに...したのに』


「俺に可愛い寝顔を見せたAが悪い」




可愛いなんて言葉に騙されないから
私は今日こそたくさん寝る




でも頬杖をつき流し目で私を見る遥輝がかっこよくて
私は無意識に手を伸ばしてしまっていた。




“大丈夫、今日は優しくするから”

Sh#5 or Sh#51→

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す