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story9【久瀬 呂十】 ページ10

雑多に置かれた塵の様に散らばった瓦礫の上に

独り少年は腰を掛けていた。

どんよりと垂れ込んだ鉛色の空からは、今にも涙が溢れ落ちてきそうだ

そんな空を仰ぎながら 少年は一つ溜め息と共に言葉を溢す。


「…今日は災難です」


そう足元の瓦礫の欠片を一つ拾う。

パキン

少年が瓦礫に触れた瞬間 まるで硝子にヒビが入るかの様な音が鳴り

その瓦礫は 瓦礫の原型を留めたまま見る目を疑う様な綺麗な結晶となった。

少年はその結晶と化した瓦礫をまじまじと見つめ、再び足元へと戻した。


「…世の中も大変ですねぇ」


此の場所もかつては 家が建ち、草木も生えとても賑やかであったであろう

それが今では 土は痩せ細り、草木一つも生えぬ不毛の大地となった。

そんな事が続けば 勿論の事この世界の全てにおいてが

危険に侵されるであろう。

最早 もう瓦礫の山となってしまった此処に用は無い。

早々に立ち去ろうと歩み出した


その時___

又 “先程” の様な目眩が襲い、地面へと身体を横にした

次第に意識の薄れる中 何か声の様なものが聞こえた様な気がした。


“____”









身体が重い。 意識はある。

又か___

と内心 疲労の色を見せる すると唐突に 声が頭に響いてきた。


“又 会ったな 人間よ”


頭に直接語り掛ける様なそんな感覚に陥る。…いや それともこれは

本当に語り掛けられているのかもしれない

そして現在で会うのが二度目になる相手に返答を返す為

自身の心の中で相手に訴え掛ける様に声を出した。


『…また ですか』


辺りに自身の声が響く。 それは声の様で声では無く

まるで 幻想的な水面に拡がる波紋の様だった。

案の定 これは前回の時に実践済みで然程 驚く事は無い。


“気を付けよ お前は未だに制御出来ていぬ”


再び 頭に直接語り掛けてくる様な声が脳内に響く

それは一体どういう事かと 問いただしたかったのだが

その声を最後に気配共に反応が消えてしまったので止めた。









ふと気がつくと目の前には地面があった。

当然の事だが まだ覚めやらぬ意識と身体を持ち上げ軽く背伸びをする

服に付いた砂塵と木屑を払い落とす。

そして今度こそ 立ち去ろうとその場を後にした。

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(プロフ) - 更新終了致しました (2018年3月30日 7時) (レス) id: 481c4bde27 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 更新をさせて頂きます (2018年3月30日 6時) (レス) id: 481c4bde27 (このIDを非表示/違反報告)
赤城丸(プロフ) - プルポリーさん» いえ、多分大丈夫です。お疲れ様でした。 (2018年3月19日 14時) (レス) id: 06c4c5d35d (このIDを非表示/違反報告)
プルポリー(プロフ) - 本当にごめんなさい、、、もし、1ヶ月で占ツクを辞めることが出来ずに迷ってたら、もしかしたら、戻るかも知れませんがその時はよろしくお願いします、、一緒に合作した事は楽しませてもらいました!ありがとうございます (2018年3月19日 11時) (レス) id: c6282bb7de (このIDを非表示/違反報告)
プルポリー(プロフ) - 赤城丸さんその他参加者さん、参加したのですが、これから先新学期となり占ツクを辞めたいと思ってます、、、本当に自分勝手で許される行為じゃないのだと思っています本当にすみません、、勝手にキャラクターは動かすのを皆さんにお願いしたいです (2018年3月19日 11時) (レス) id: c6282bb7de (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:企画の参加者様達 x他8人 | 作者ホームページ:なっしんぐ  
作成日時:2018年3月4日 14時

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