71. そばにいたい ページ21
「湿布も貼ったし、とりあえずこれで少し休んでろ。部屋まで運んでやる」
「だ、大丈夫！大丈夫だからっ」
慌てて立ち上がった瞬間、痛みで体がフラつく。
それをてつやが即座に支えてくれた。
「こんなになってて大丈夫なワケねーだろ」
「…じゃあ部屋まで連れてって」
私はてつやの腕に掴まる。
「歩けるのかよ」
「支えててくれれば歩ける、多分」
まったくって少し呆れた風にそう言ったけど、てつやは寄り添うように支えてくれて。
私はてつやに捕まってなんとか歩き出した。
やっぱり痛みで足を引きずるようにしか歩けないから、ゆっくりな歩みになってしまう。
「あー部屋の中歩いてただけなのにすっ転ぶってよく考えるとすごい恥ずかしいよね」
「はっきり言うがクソだせぇな」
「てつやには言われたくない」
「なんだと、手離すぞ！」
「ちょっとまって、ほんとに今はやめて！」
こんな時くらいもうちょっと労ってよね。
こっちはなんとか歩いてるんだから。
それでもひょこひょこぎこちない歩き方の私に、てつやはちゃんと合わせてくれていた。
私の部屋のベッドに座らせてから、その腕はそっと離れていった。
その瞬間なんだかとても寂しさを感じて、そんな感情に自分でも戸惑う。
「痛みが引くまで休んでろ」
てつやはそう言うと私に背を向けた。
その時本当に無意識のまま、私はてつやのパーカーの裾を引っ張っていた。
「なんだよ」
「え、あ、ううん…」
なにやってるの、私。
でもなんだかてつやがここからいなくなってしまうのが無性に嫌だった。
もっと、ずっとてつやと一緒にいたい。
引っ張ったままのパーカーの裾を眺めながら、そんなことを考えていた。
「なんだ、なんか持ってきてほしい物でもあるのか？」
「え、ううん、ないよ」
「じゃあなんだよ」
「ねぇ、てつや」
「だからなんだ」
「…する？」
「は？なにを」
「だから…その…」
「どうしたお前らしくねーな、さっさと言えよ」
この時の私はどうかしてた。
だけどどうしてもてつやのそばにいたかった。
このまま、てつやの近くでもっとてつやを感じていたいって心からそう思った。
「お願いそばにいて。私のこと、抱いて…」
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かえで(プロフ) - みことさん» 有難いお言葉を頂き本当に光栄です。今後の執筆にとてもやる気がでました！これからの作品もぜひぜひお付き合い下さい。 (2018年2月18日 10時) (
レス) id: f1c141d7d3 (このIDを非表示/違反報告)
みこと(プロフ) - こんにちは！完結おめでとうございます！てつやさんオチの作品の中で1番大好きな作品です！これからもかえでさんの作品、楽しみにしてます！(≧ω≦) (2018年2月17日 21時) (レス) id: e05cb40cc5 (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - ゆうきさん» とても励みになるコメントをありがとうございます。2人の子供の話も書いてみようかなと意欲が出ましたw今後も続編考えていきたいと思います。またお付き合いくださいね！ (2018年2月13日 18時) (レス) id: f1c141d7d3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - こんにちは。コメント失礼致します。かえでさんの小説毎日の楽しみとして読んでいました！今回の番外編の更新もめちゃくちゃ嬉しかったです！！！子供生まれたあとのお話も読んでみたいです…(´；ω；｀) (2018年2月13日 15時) (レス) id: bd844e0957 (このIDを非表示/違反報告)
zawa-mina(プロフ) - かえでさん» はい！もちろんです！頑張ってください！ (2018年2月9日 19時) (レス) id: 2d47d3844b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かえで
| 作成日時：2018年1月24日 11時
