70. アクシデント ページ20
「ねー少しは部屋片付けてよ…」
洗濯物を持ってきた私はその光景を見て、さすがに自室のパソコンの前で編集をしているてつやに向かって言ってしまった。
それぐらい部屋の中がぐちゃぐちゃになっていたからだ。
よくこんなところで編集に集中できるなと逆に感心してしまう。
仕事するには到底良い環境とは思えない。
「んーこれ終わったらやる」
「絶対やらないくせに…」
私はため息をつくと、とりあえずフローリングに散らばっている服やら本やらを拾いだす。
せめて足の踏み場くらいは確保しておこう、と思った時。
落ちていた服を踏んで、それで足を滑らせてしまった。
「わっ、きゃあ‼」
そのままバランスを崩した私はその場に勢いよく転んでしまった。
私の小さな叫び声と転倒した時の大きな音に慌てたようにてつやが私の方を向く。
「おい、なんだどうした!」
「いった…服踏んで滑った…」
「なにやってんだ、鈍臭い…」
「誰のせいでこうなったと思ってんのよ!」
顔をしかめながらその場に立ち上がろうとしたら、
右の足首に激痛が走る。
「痛っっ‼」
「どうした、どこ痛い?」
「…足捻った、立てない」
「おいマジかよ、大丈夫か?」
「もー大丈夫なわけないじゃん、超痛いんですけど…」
痛めた足をさすっていたら、体がふわっと宙に浮く。
え、なに?って思ったら、気づくとてつやにお姫様抱っこされていた。
「ちょ、ちょっと降ろして、降ろしてよっ」
「おい暴れるなよ、だって歩けねーんだろ」
「そうだけど…」
てつやは私を軽々と持ち上げて、そのまま近くのベッドに座らせてくれた。
「うちに湿布って置いてあったかなぁ、A知ってるか?」
「リビングに救急箱があるからその中にもしかしたらあるかも」
「ちょっと見てくるわ」
私にそう言って、てつやは部屋を出ていった。
はぁ、まさかこんなことになるなんて…
自分の不注意もあるけど、大体てつやが部屋片付けないからこんなことになるのよ。
少々逆恨みしていたら、てつやが手に湿布を持って戻ってきた。
「あった、見せてみろ」
「うん…」
私の前にしゃがんだてつやに右足を差し出すと、そっと手に取った。
なんだかてつやに触れられて、一瞬ビクッて体が反応してしまう。
「あー腫れてきてるな、とりあえず様子見て酷くなるようなら医者だな」
「うん、そうだね…」
てつやが触れる場所全部が熱を帯びていく。
どうしてこんなにドキドキするんだろ…
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かえで(プロフ) - みことさん» 有難いお言葉を頂き本当に光栄です。今後の執筆にとてもやる気がでました!これからの作品もぜひぜひお付き合い下さい。 (2018年2月18日 10時) (レス) id: f1c141d7d3 (このIDを非表示/違反報告)
みこと(プロフ) - こんにちは!完結おめでとうございます!てつやさんオチの作品の中で1番大好きな作品です!これからもかえでさんの作品、楽しみにしてます!(≧ω≦) (2018年2月17日 21時) (レス) id: e05cb40cc5 (このIDを非表示/違反報告)
かえで(プロフ) - ゆうきさん» とても励みになるコメントをありがとうございます。2人の子供の話も書いてみようかなと意欲が出ましたw今後も続編考えていきたいと思います。またお付き合いくださいね! (2018年2月13日 18時) (レス) id: f1c141d7d3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうき(プロフ) - こんにちは。コメント失礼致します。かえでさんの小説毎日の楽しみとして読んでいました!今回の番外編の更新もめちゃくちゃ嬉しかったです!!!子供生まれたあとのお話も読んでみたいです…(´;ω;`) (2018年2月13日 15時) (レス) id: bd844e0957 (このIDを非表示/違反報告)
zawa-mina(プロフ) - かえでさん» はい!もちろんです!頑張ってください! (2018年2月9日 19時) (レス) id: 2d47d3844b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かえで | 作成日時:2018年1月24日 11時