２５７度 ページ5
「おい、最高審判。アンタ楽園の塔を知らないわけじゃないだろ？」
「おいジークレイン！！最高審判になんて言葉の使い方を！！」
くってかかる評議員にニッと笑うジークレイン。そして言葉を続ける。
「楽園の塔を作り出すための魔力を一箇所に集めてみろ。センサーに一発で引っかかるぞ。」
「う、うむ。」
正論だ、と場の雰囲気が静まる。ジークレインは上着を脱ぎながら得意げに笑った。そんな中、Aはフンッと鼻で笑う。
「おい、ジークレイン。アンタ楽園の塔を知らないわけじゃないだろ？」
「な、」
Aはさっきの言葉をそのままそっくりジークレインに返した。突然のことでジークレインは顔を引きつらせた。対するAはニヤリと笑った。先ほどのジークレインのように。
「ジークレイン。君は上着を脱いだな。暑いのだろう、君に氷をあげよう。」
そう言ってAはペットボトルを差し出した。だが、中に入っているのは水。ジークレインは怪訝そうに眉をひそめる。
「あんた俺を馬鹿にしてるのか？」
「まぁそれもあるが違う。これは器だ。」
「うつわ？」
Aはペットボトルを机に叩きつけた。バァンッ！と派手な音が響く。それを見てみんなは目を丸くした。
「最高審判！？」
「どうされた？」
「ほら、ペットボトルを見てみろ。」
みんなはペットボトルを見た。すると中の水がみるみる凍っていた。皆、目をまるくする。
「これは…」
「魔法か？」
「いや、これは科学だ。」
中の水はとっくにマイナス０度を越している。普通なら氷になるべき温度なのだがペットボトルにタオルを巻き全てが同じように冷えるようにしたんだ。
Aは語る。
「その状態でさっきみたいに衝撃を与えると中の水が凍るんだ。」
全員意味が分からなかった。法則や仕組みはわかった。だが、それがどう楽園の塔と関係があるのかが理解できなかった。
「つまりは、だ。今、楽園の塔が存在しているとしよう。だが今存在している楽園の塔は器だ。」
なんとなく理解できてきた。淡々と語るAに評議員は恐怖さえした。１０代の若い少女の頭の回転の早さや、達観した物言い。それはすべて神の領域だった。
「つまりは楽園の塔に少しでも刺激を与えれば完成してしまう、ってこともある。」
Aはゆったりとした口調で告げた。複雑そうな表情の評議員。そして何故か薄く笑みを浮かべたジークレインにAは小さく息を吐いた。
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海姫(プロフ) - オーマイダティーさん» うおおお...、とんでもなく嬉しいです！！ (2015年4月10日 22時) (
レス) id: b9de7aef37 (このIDを非表示/違反報告)
オーマイダティー - とんでもなく、面白かったです!! (2015年4月10日 22時) (レス) id: 69b5cf62fa (このIDを非表示/違反報告)
海姫(プロフ) - M-Aさん» ありがとうございます！続編に行くのでそこでもよろしくお願いしますね！！ (2014年11月3日 20時) (レス) id: ab7ccb80bb (このIDを非表示/違反報告)
M-A - わかりました！^_^ (2014年11月3日 17時) (レス) id: 520045c3f9 (このIDを非表示/違反報告)
海姫(プロフ) - M-Aさん» そんな！褒め過ぎですよ！！(照れまくり)もうすぐオリジナル始まるので、そっちも見てくださいね！ (2014年11月2日 22時) (レス) id: ab7ccb80bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海姫 | 作成日時：2014年9月30日 22時
