検索窓
今日:4 hit、昨日:48 hit、合計:117,892 hit

黒い影は足元に ページ8

「ならば尚のこと私達ものんびりしていられません。」


Aが厳しい声を放つ。その言葉に国木田達が揃ってAを見た。
Aの口からこの話に乗るとは思っていなかったし、他人優先本意の化身のようなAらしくない発言のように思えた。いつもなら社の方針を仰ぐような発言が目立つAが、自ら立案したのは意外だった。


「マフィアに先に暗殺者を捕まえられてしまえば、間違いなく殺します。
与謝野女医の異能でも社長が完治出来ないとなれば解毒薬を持っているのはその暗殺者な可能性が高いです。私達が先に見つけないと。」


静かに云ったAの目は鋭い。いつもの柔らかな微笑みを浮べるAはそこにはいなく、少し殺気立っているようにも思えた。険しい雰囲気に国木田達は閉口する。


「Aちゃん、なんかあった?」


その雰囲気を縫って太宰が聞く。その言葉にAは少し肩を揺らした。
Aはゆっくりと顔を上げた。自分でもそれらしくない発言なのは終始分かっている。だが、胸に走る焦燥が不安を駆り立てていた。
Aの脳裏に浮かぶのは昨日の薄ら寒い笑み。Aの脳内でガンガンと警報音が響く。
太宰が云う様な何かがあった訳ではない。ただ、見知らぬ男と遭遇しただけだ。だが何故かAの胸には張り裂けそうなほど不安が立ち込めていた。Aはふぅっと息を吐く。


「特別なことは何も。社長の事が些か気になるだけです。」

「そっか、ならいいんだ。じゃあAちゃんがちょっとでも気になったことはある?」


太宰の言葉にAは言葉を云いかけるも「いえ、何も無いです。」と告げた。そしていたたまれなくなり「すみません。私、少し出ます。」と云うと探偵社を逃げるように出た。


「……どうする?」


その後ろ姿を見ていた国木田は一言太宰に云う。その言葉に太宰は「うぅーん。」と分かりやすく首を捻って唸る。そして「国木田君、ちょっとAちゃん見てて。私、行くところがあるから。」と笑った。

蔓延る報せ→←仮面の暗殺者


ラッキーアイテム

名探偵のメガネ


目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (111 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
692人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

海姫(プロフ) - 神夜さん» コメントありがとうございます!本名と一緒とか…、運命感じます(笑)。ってか可愛い名前ですね。羨ましいです! (2019年1月24日 9時) (レス) id: fe69d25c5e (このIDを非表示/違反報告)
神夜(プロフ) - 海姫っていう名前が私の本名と同じで思わず2度見してしまい気になったので見てみた所とても面白かったです!更新頑張ってください (2019年1月22日 0時) (レス) id: 1c640baa7c (このIDを非表示/違反報告)
海姫(プロフ) - 雪豹さん» コメントありがとうございます〜。正直原作沿かなり自信ないんですけどか頑張ります! (2018年12月28日 20時) (レス) id: fe69d25c5e (このIDを非表示/違反報告)
雪豹(プロフ) - 続編、良いですね!楽しく更新を御待ちしておりますm(_ _)m  (2018年12月24日 13時) (レス) id: 5c79542a8a (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:海姫 | 作成日時:2018年12月23日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。