繋がろうとしない僕ら ページ13
鮮血が舞う、血飛沫が芥川の青白い頬に付着した。Aは痛みとは形容しがたい焼けるような感覚に声にならない悲鳴を上げる。
音もなく崩れ落ちるAを芥川は無意識で支えた。
「A!」
Aの腹からは生暖かい血が滴っていた。ホーソーンの異能は血を操るもの。攻撃を避ける最中自分の血痕を地面に残しており、それを芥川に放ったのだがAがそれに気が付き庇った、という訳だ。
芥川は腕の中のAの呼吸を確認し、すぐさまホーソーンを見る。ホーソーンの異能が目の前に迫っていた。防御が間に合わない。
「独歩吟各!!音響弾!」
刹那、頭痛を起こしそうな響きが響く。芥川は思わず耳を押さえる。そしてそれはホーソーンも同じ事。張り詰めた高音の響きに攻撃を中止して距離を取った。
そこにはらりと現れたのは探偵社の国木田だった。Aは眉間に皺を寄せ乍も瞳を開ける。
「奴が仮面の暗殺者の正体か。」
「国木田、さん。暗殺者は、血を操る異能です。」
「喋るなA。すぐ与謝野女医のところへ連れていく。それ迄へばるなよ。」
国木田の登場を見たホーソーンは「深淵はすぐそこに。」と一言呟くとそのまま姿を消した。
芥川は一瞬追おうかと迷ったが深追いは禁物だと自己暗示をかけ、留まった。
そしてAを見ると既に国木田が腹を押さえ止血していた。直ぐに国木田の血に染まる手に芥川は全身の血の気が引けていくようだった。
以前、谷川のオークションの時Aが撃たれ死んでいく様子は芥川も目撃していた。自分が死などに脅えるとは思わなかった。呆気なく死んでいく人間など死ぬほど見てきたから。
だがあの時だけは指先が震え、肝が冷え、血の気が引いた。
芥川は声が震えるのを何とか抑え「Aは、」と聞く。すると国木田は至って冷静にAの傷口に包帯を巻きながら「このくらいなら与謝野女医に見せれば治る。」と云い、Aを横抱きして立ち上がる。
芥川と国木田が対立する。以前、こうやって顔を合わせて戦った事もあったが今はそんな気など起きなかった。
芥川は自分を庇ってAが傷付いた事を云おうか迷ったがすぐ辞めた。そんなことを云ってもAの怪我は治らない。
「殺戮を極めたお前でも、そんな顔をするんだな。」
国木田が真っ直ぐ芥川を見ながら云った。そして国木田はそのままAを抱え去って行った。芥川は国木田が去った後もその場から動くことは出来なかった。
ラッキーアイテム
名探偵のメガネ
692人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
海姫(プロフ) - 神夜さん» コメントありがとうございます!本名と一緒とか…、運命感じます(笑)。ってか可愛い名前ですね。羨ましいです! (2019年1月24日 9時) (レス) id: fe69d25c5e (このIDを非表示/違反報告)
神夜(プロフ) - 海姫っていう名前が私の本名と同じで思わず2度見してしまい気になったので見てみた所とても面白かったです!更新頑張ってください (2019年1月22日 0時) (レス) id: 1c640baa7c (このIDを非表示/違反報告)
海姫(プロフ) - 雪豹さん» コメントありがとうございます〜。正直原作沿かなり自信ないんですけどか頑張ります! (2018年12月28日 20時) (レス) id: fe69d25c5e (このIDを非表示/違反報告)
雪豹(プロフ) - 続編、良いですね!楽しく更新を御待ちしておりますm(_ _)m (2018年12月24日 13時) (レス) id: 5c79542a8a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:海姫 | 作成日時:2018年12月23日 21時