いつだって泣きたくなるほどにただ君の事を考えてゐるよ。 ページ23
「そう云えば国木田さん達の方は人質の解放でしたよね。どうだッたンですか? 」
「それがだな…。」
国木田が顔を顰めて経緯を話す。それに鏡花と谷崎は目を見開き言葉を失った。
同刻、その内容を無線で聞いていた別部屋の与謝野達も同じく国木田の話を聞き言葉を失っていた。
乱歩も同様口を開くことなく目を細め思想の渦の中で身を埋めていた。
「与謝野さん。」
「なンだい、乱歩さん。」
「僕、ちょっと行くところがある。」
そう云い席を立つ乱歩に、与謝野のみならず福澤までも目を丸くした。そのまま出ていこうとする乱歩に福澤が「待て。」と静かに声をかける。その声掛けに乱歩が動きを止める。
「必要なのか。」
「うん。」
「今ここを離れるよりもか?」
「ほっといたらAが死ぬ。」
その言葉に与謝野は息を飲んだ。いつか発作を起こし倒れていたAの面影が浮かぶ。意識を戻してからも血の気のない顔で与謝野達を安心させようと微笑もうとするAが浮かんで消える。「与謝野先生。」Aの綺麗な鈴の声が耳について離れない。
「乱歩さん行ッて。ここは私と社長が見る。だから、行ッて。
Aをーー、」
その後の言葉が出てこなかった。
与謝野は俯き唯唯、早く乱歩に行って欲しくて仕方なかった。
その様子を見た福澤は乱歩に向き直り「一人で大丈夫か?」と聞くと「へーき。」と軽やかな返事を返した。
「与謝野先生、
大丈夫、Aは死なせないから。何せ、僕の座右の銘の安定化にはAは欠かせないからね。」
落ち着かせられるような、それでもどこか子供っぽい乱歩の声。与謝野は顔を上げずに頷く。それを見た乱歩はニンマリと笑った、
パタン。
扉を閉める音が俯いた与謝野の耳にもしっかりと聞こえた。
僕はあなたをおもふたびに一番じかに永遠を感じる。→←お化け私の感性の具現化
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みるく(プロフ) - この小説はすごく美しく綺麗だなと思って、とても気に入っています!!!儚く美しい世界観というかなんというのか、語彙力がないですが、ものすごくいい作品でした!読ませていただきなんども涙を流しました!素晴らしい小説を作って下さりありがとうございますm(*_ _)m (2022年3月13日 9時) (レス) @page45 id: a995b7f6e9 (このIDを非表示/違反報告)
海姫(プロフ) - 焔蘭さん» コメントありがとうございます。タイトルは夢主が文ストの世界に来た時、ビルから飛び降り落ちたので《空から落ちた》と入れて、幸せとは遠い子が人との繋がりで幸せになっていくので《薄倖美人》としています!後は夢主の異能が《空が分裂する》だというのもあります! (2019年1月13日 19時) (レス) id: fe69d25c5e (このIDを非表示/違反報告)
焔蘭 - 初めましてで失礼します!タイトルの意味って何かあるんですか?そしてこれからも頑張ってください! (2019年1月13日 16時) (レス) id: 98975d3783 (このIDを非表示/違反報告)
海姫(プロフ) - 乱歩ルート期待の敦くんの妹さん» コメントありがとうございます!乱歩さん…。乱歩の夢希望ですか? 良かったら書きますので聞きますよ! (2018年5月29日 12時) (レス) id: fe69d25c5e (このIDを非表示/違反報告)
乱歩ルート期待の敦くんの妹 - 乱歩さん乱歩さん乱歩さん(ぶつぶつ (2018年5月29日 0時) (レス) id: 4a14a6da47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海姫 | 作成日時:2017年8月6日 0時