《胸がざわつくのはあの日の淚》 ページ39
「えぇ!!? 幼馴染みぃ!? 」
Aはバスケ部が終わるのを待って、笠松との関係をしつこく(ここ大切)聞く黄瀬に告げたのが幼馴染み、という事だった。
オーバーなリアクションにAと笠松はうっとおしそに眉をひそめる。
「うるせぇよ。」
「だって! 笠松先輩とAが幼馴染みなんて初めて聞いたっス! 」
「だって初めて言ったものね。」
「おう。」
「ちなみに、今日はお宅にお邪魔する予定でしたから。御両親も了承済みで。」
笠松はそれを聞いて「だから朝機嫌が良かったのか、」と呟き、眉間にしわを寄せた。確か、晩御飯は好物の肉じゃがだった気がする。
「A〜!! 」
仲睦まじげに話すAと笠松に、嫉妬した黄瀬がとうとう情けない声を上げた。泣きつく黄瀬をうっとおしそにしながらも対応するAの横顔を見ながら、笠松はぼんやりと考える。
「(最後に会ったのは、去年の6月頃か…。)」
【ゆ、きちゃんっ…。】
【Aっ!? お前…久しぶりに顔見せたと思ったら、その傷どうしたんだよっ!!? 】
【私っ、もう…ここにいられないよっ…! 】
【おい! 何言って、 】
【もうみんなと一緒にいられない!! 私汚いから! 私の…そばにいたら、危ないからっ……! 】
【おま、落ち着けって! 】
【幸ちゃんっ…幸ちゃん!! 】
笠松は頼りなく点滅をする外灯を眺めながらぼんやり昔の記憶を思い起こした。
腕の中で、嗚咽を繰り返し肩を震わせて涙を流すAを見たのはあれが初めてだった。そのあとにすぐにアメリカに越したのは笠松もよく知る話だ。
「(あれから、約1年か…。)」
今思い出しても、胸のざわつきが拭えない。血の気が引くような、底が抜けたような感覚だった。
だってAはいつだって笑っていたから。傷だらけになって、声をあげて、泣いていたのはあの日以外に見たことなんてなかった。
「なぁ笠松、」
「あ? 」
不意に森山に名前を呼ばれ、振り返る。夜の落ち着いた雰囲気が妙に合う、涼しげな風貌で森山は笠松を見つめていた。
なんとなく、胸が締め付けられるような感覚がした。
「なんか分かないけど、何かあったら相談しろよ。」
「…おう。」
森山の言葉の真意は笠松には分からない。だが、その言葉一つで幾分気持ちが楽になったのを感じた。
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←《君があまりに嬉しそうに名前を呼ぶから、胸が苦しくなるんだ。》
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藤織 藍沙(プロフ) - すっごく面白いです!更新頑張って下さいね! (2015年7月31日 8時) (レス) id: dd65d1f829 (このIDを非表示/違反報告)
舞香(プロフ) - 更新、頑張ってください!まだかまだかと楽しみにしています!笑応援してます! (2015年6月22日 0時) (レス) id: 8017bac195 (このIDを非表示/違反報告)
海姫(プロフ) - ハートの時計さん» コメントありがとうございます! これからも頑張っていきますので、宜しくおねがいします! (2015年4月9日 6時) (レス) id: b9de7aef37 (このIDを非表示/違反報告)
ハートの時計(プロフ) - 面白いですね(⌒▽⌒) 頑張ってください (2015年4月9日 0時) (レス) id: 2c10ee03cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海姫 | 作成日時:2015年2月27日 17時