『黒子のバスケ』通行人少女Ｘの憂鬱『トリップ』

キモチワルイ ページ48

千本桜の前奏とともに私は舞台に姿を現した


それと同時に湧き上がる歓声


私、シルバーもずいぶん人気になったものだ


『‘‘どーもー！シルバーで〜っす！今日はみんなわざわざありがとぉぉぉ！！！！’’』


あぁ、こんな声キモチワルイ


でも演じなきゃ、隠さなきゃ、偽らなくちゃ


私のドス黒い感情を出してはいけない


『‘‘あと、みなさんサプライズー！！！最後の曲では、今人気のモデルさんとコラボしちゃいま〜っす！’’』



そもそもこれは私が望んでたことのはずなのに


キモチワルイ、キモチワルイ、キモチワルイ


私が今ここにいるのは、たくさんの犠牲の上で成り立っているのに


私は、過去に大勢の人間を、親族を、殺して、解して、グチャグチャにして、未来を奪ったのに



ドウシテワタシハイマシアワセヲカンジテイルノ？



おかしい、おかしい、おかしすぎる


この世界は狂ってる、そう、狂ってるんだ


加害者が幸せになり、被害者は不幸になる


そんな理不尽で不条理で偽善で偽悪でエゴイスティックな・・・不幸せで幸せな世界の常識


異常が正常で正常が異常なのが、この世界では‘‘ふつう’’なんだ


この世界でこの常識がおかしいとわかっているのは、違う世界から来た私一人


１＋１＝２というのが私がいた世界の常識


でも、この世界では１＋１＝３と全員が言ってるようなものなんだ


だから１＋１＝２と言ってる私が異常になるんだろうな

あれ、私何が言いたかったんだろう


あぁ、もう、難しいことは苦手なんだ


とりあえず、できることをやっていこう


私がこの世界に来たのは、きっと何かしらの理由があるはずだから


そして、カミサマネギマキまで歌い終わって黄瀬が出てきた


黄瀬は私を見て少しばかり顔色を悪くしていたが・・・私には関係ない


ヘマさえしなければどうでもいい


そうそう、緑間達はとっくに見つけたよ・・・まったく、もしバレたらどう責任を取るんだか


そんなこんなでライブは終わったが、私の気持ちは一曲目からずっと晴れないままだった


晴れない心のままで家に帰っている途中のことだった


私に、悲劇が襲ってきたのは―――――

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