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#57 ページ17

「もう、なんで流星否定してくれへんかったん?」

Takaさんと別れて、ホームで電車を待つ。

「…否定したくなかったから、かな」

流星は小さく笑った後、真面目な顔になった。
…あ、この感覚、知ってる。

「神ちゃんのことが好き。火曜日は諦めるから…それ以外の神ちゃんを、俺に独り占めさしてほしい」
「そ、れは…告白、?」
「そのつもり」

膝の上で流星がぎゅっと拳を握ってるのを見て、何だかこっちまで緊張してしまう。
そっか、既視感。駅こそ違うものの、しげも駅のホームで告白してくれた。

「神ちゃんがしげのことが好きなのはわかってる。勝ち目がないことも、わかってる。でも俺、神ちゃんのこと好きやねん」

ぽつりぽつりと放たれる言葉。流星の本音。

「片想いやめてさ、俺と付き合ってよ」
「……」
「しげのこと、忘れられなくてもええから」

縋るような目で見つめられて、言葉が出ない。
…しげは。
しげは、どう思うやろか。

“最近の神ちゃん、流星と仲が良くて嫉妬する”

そう言ってくれたのは、どんな気持ちやったん?
まだ今日やもん。忘れてへん。
声のトーンも、表情も。
たとえそれが幼馴染として言われていたとしても、俺、思ってまうよ。
流星と付き合ったら、しげが悲しむんじゃないかって。
俺はしげを、悲しませたくない。
…しげが好きな気持ちを、失くしたくない。

「…流星。」
「うん」
「ごめん。気持ちには応えられへん」
「…うん」
「望みないってわかってても、しげのこと諦められへん」

そっか。
流星の相槌に合わせて、息が白く上がる。
水分を多く含んだその言葉は多分、涙の代わりに吐き出した流星の気持ち。

「…ごめんな」
「ううん、神ちゃんは悪くない。ちょっと、思ってた。良い返事もらえないやろなぁって」

一つ深呼吸のようなため息をつくと、流星は小さく笑った。

「振られてもうたけど、これからも友達でいてくれますか?」
「そりゃもちろん…!」
「ありがとう」
「ううん、こちらこそ。…これからも、よろしくお願いします」

丁度電車が到着した。
ベンチから立ち上がって俺を振り返ったのは、いつもと変わらず友達として俺に笑いかける流星の笑顔だった。

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ナナセ(プロフ) - かこさん» コメントありがとうございます◎ ぜひ次回作もお付き合いください!! (2021年2月19日 13時) (レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
かこ(プロフ) - 完結おめでとうございます( ; ; )とっても面白かったです!次回作も楽しみにしてます(^^) (2021年2月19日 12時) (レス) id: 6e72dd3f11 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナナセ | 作成日時:2021年2月2日 10時

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