#56 ページ16
「お、ちょっと遅かったな」
「うん…」
Takaさんの路上ライブ。
しげにあんなこと言われたばかりなのに、流星と二人きりで会うのは何だか罪悪感があって。
やけど別に流星と約束をしてる訳じゃないし、やましいこともない。
それに、嫉妬すると告げたしげは、恋人としてではなく幼馴染として言った。
やから嫉妬の意味だって、きっと俺が望むものとは違う。
「どしたん。元気ないやん」
「そんなことないよ」
ぽん、と頭に温もり。
「テストの出来が悪くても、留年せんから大丈夫」
「別にそれを心配してた訳じゃないって笑」
「そう？」
そんな話をしているうちに、Takaさんの準備は終わったようで。
「ちょっとだけ時間ください、ぜひ足を止めて聞いていってください」
いつもの言葉で路上ライブが始まる。
「今日は、ドラマの主題歌で話題の曲を歌います。聞いてください、____」
その曲名に、流星と顔を見合わせる。
それはいつか、Takaさんに歌って欲しいと言っていた曲。
大人っぽいメロディに、Takaさんの色気ある声が乗っかる。
「ん？」
「神ちゃんの手、めっちゃ冷たい」
「わ、ちょ…っと、」
「ええから。冷えるで」
Takaさんが例の曲を歌っている時。
ふと流星に手を掴まれた。
「流星やって、そんなに手ぇ温かくない…」
「そんなことないやろ」
繋がれた手から伝わってくる温もり。
流星の手は骨張っていて、少しだけカサついている。
「このライブが終わるまで。な？」
「なんやねんそれ笑」
・
Takaさんがギターを置いて一礼すると、パッと離された手。
掌を冷たい夜風が撫でた。
「めっちゃ良かったな」
「ほんまに。やっぱりあの歌、めちゃめちゃ似合ってたわぁ」
ライブの余韻に浸りながら会話をしていると、Takaさんがこちらに手を振ってくれた。
「今日もありがとうなぁ、もう皆勤賞のステッカーあげたいくらいやわ」
「え！そんなんあるんですか！？」
流星の嬉しそう顔に、Takaさんは苦笑い。
「ごめん、そんな制度ないねんけどさ」
でもそれくらい感謝してるでー、とTakaさんは人好きのする笑みを浮かべる。
「そういやさ…いや、ええねんけどな？君たちここをデート場所にしてるやろ？」
「はい？」
唐突なその発言に、思わず声がひっくり返る。
「手なんか繋いじゃって！」
「あ、や…そんなんじゃないですって…！」
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ナナセ(プロフ) - かこさん» コメントありがとうございます◎ ぜひ次回作もお付き合いください！！ (2021年2月19日 13時) (
レス) id: 4f931bc539 (このIDを非表示/違反報告)
かこ(プロフ) - 完結おめでとうございます（ ; ; ）とっても面白かったです！次回作も楽しみにしてます(^^) (2021年2月19日 12時) (レス) id: 6e72dd3f11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ナナセ
| 作成日時：2021年2月2日 10時
