好敵手16 ページ17
特訓が始まって二週間。
クラスマッチまで残りおよそ一週間。
そらっちはますます上手になっていた。
努力は伊達じゃない。
あと一週間頑張れば、そこそこ上手い一般生徒相手なら普通に勝負に出れるようになるだろう。
どんどん成長していく姿が見れるのが本当に楽しい。
それに、そらっちとの特訓は幸せすぎる。
そらっちは、「黄瀬、疲てるのにごめんね、ありがとう」と、申し訳無さそうな顔をしているが。
俺は、「黄瀬、見てた?出来たよ!」って嬉しそうに報告しにくる姿が可愛すぎて。
おまけに、そらっちを家の近くまで送って帰ることが出来るのだ。
…お礼を言わなきゃいけないのはこっちッスよ、マジで。
もう、俺は放課後練習をかなり楽しみにしていた。
…ただ一つのことを除いて。
「黄瀬ーAちゃん元気?」
「楽しそうだな、黄瀬。Aちゃんと何かあったか?」
「Aちゃん、上手になったー?」
「何で全員そらっち名前呼びしてるんスか!!」
森山先輩から漏れたのだろう。
先輩達が皆してそらっちを名前で呼ぶようになったのだ。
森山先輩に至っては名前で呼んでもらえてる所とか本当に…
「いや、だって黄瀬、そらっち呼びやめろって言ってただろー」
「アンタらいくら言ってもそらっち呼びしてたくせに!?」
「黄瀬も名前呼びすれば良いじゃん」
「無理ッス!」
「ヘタレかよ」
俺が悪いとでも言うのか。心外である。
「あーもう!俺、そらっちのとこ行くんで!お疲れさまでしたッ!!」
若干拗ね気味に一言告げ、部室を後にした。
**
「黄瀬、今日何かあった?」
水分補給をしていると、そらっちが心配そうに尋ねてきた。
そらっちの優しさが心に響く…もういっそそのまま…
「そらっち、ちょっと俺のこと名前呼びしてくれないッスか…?」
「へ?」
「…あ」
気付いた瞬間、顔が火照った。
うっそ、待って!?声出てた!!?や、嘘だろ恥ずかしすぎる、ちょっと待って!!う、うわぁああ!!!!!!
「そらっち!今の無し!無しでおねが…」
「…涼太」
え?
思わずそらっちを凝視した。
「涼太君は涼太君だから、黄瀬は涼太。それじゃ駄目?」
「全然駄目じゃないっス!」
むしろ、少しモデルの俺に勝った気がする。
“涼太”
そらっちの綺麗な声で紡がれるその名前は特別で。
あぁ…こんなのズルいッスよ、そらっち。
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りた。(プロフ) - ひとみさん» 一気に…!?お疲れさまでした、ありがとうございます!クラスマッチ編あともう少しで完結します…!これからもどうぞよろしくお願いします!がんばります!!! (2016年7月13日 8時) (レス) id: 60b76a6687 (このIDを非表示/違反報告)
ひとみ - 一気に読ませて頂きました!とても面白かったです!占いツクールにもこんな作品があるんだなぁと思いました( ˙˘˙ )応援しています! (2016年7月12日 23時) (レス) id: 5dddd6f71b (このIDを非表示/違反報告)
りた。(プロフ) - だおさん» ありがとうございます!黄瀬君にはちょっと格好悪く片思いをして欲しいと思いこうなった次第です。嬉しいです、励みになります!こちらこそ、これからも見守っていただけると幸いです、どうぞよろしくお願いします! (2016年6月25日 10時) (レス) id: c66c29cc58 (このIDを非表示/違反報告)
だお(プロフ) - 初めて見るような内容で楽しく読ませて頂きました(*^^*)これからも頑張ってください! (2016年6月25日 6時) (レス) id: d490ebbd79 (このIDを非表示/違反報告)
りた。(プロフ) - 桃さん» ありがとうございます!あくまで塩対応な夢主ちゃんのデレを早く書きたいなぁとただいま頑張っております!どうぞ温かく見守っていただけると幸いです。これからもよろしくお願いします! (2015年12月30日 14時) (レス) id: 066dfb27bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りた。 | 作成日時:2015年12月5日 23時