夜景と首領。 ページ7
とても背の高いビルの前で、車は止まった。
「さて、此処が貴様の新しい居場所だ」
其のビルは、想像よりずっと清潔で立派で、とても犯罪者達の拠点とは思えなかった。
私は、拘束を解かれて、自分で歩く様命じられた。
ロビーはいやに豪華な造りになっていて、キョロキョロと其れを見回しながら歩く私の前で、芥川さんと樋口さんは何やら話していた。
「先輩、移動中に交渉を終えたんですね!流石です!」
「当然だ。此れより首領に報告に参じる故、貴様も同席せよ」
・・・首領、か。矢っ張り怖い人なのだろうか。
芥川さんと樋口さんは昇降機に乗り、私も其の後を追って乗り込んだ。
昇降機の扉が閉まり、景色が凄い速度で下へ下へと流れ出す。眼下に広がるのは、宝石の様に美しい夜景。
『・・・綺麗』
思わず呟くと、「此処は横浜で最も眺めが善い場所だからな」と芥川さんのぶっきらぼうな声が耳に入った。
「其れに、貴様の銀髪は、夜景に映える」
『・・・え?』
思わず芥川さんを振り向く。彼は私からさりげなく目を逸らし、「最上階だ、降りるぞ」と声を掛けた。
「はい、先輩!A、行きますよ」
樋口さんに声を掛けられ、呆けて居た私は慌てて降りる。
・・・今の、もしかして。私の容姿を、誉めて呉れてた・・・?
そんな考え事をしながら歩いていると、いきなり芥川さんが立ち止まった。
ぶつかりそうに成った私は、寸前で足を止める。・・・彼は、何故立ち止まったのだろう?
其の理由は、直ぐに判った。黒帽子を持った立派な身形の少年が、奥の部屋から出てきたからだ。
「中原さん」
芥川さんが少年に呼び掛け、一礼した。樋口さんも一礼したので、私も見よう見まねで頭を下げる。
「お、芥川。例の異能者の件の報告か?」
「はい。無事交渉が成立しました故」
「へえ、手前も遣るじゃねえか。・・・あ、でも、今首領の部屋にゃ入んない方が善いぜ」
少年は、芥川さんに声を潜めて囁く。
「今、首領はエリス嬢にお洋服を着せていらっしゃる。下手こいたら修羅場だぜ」
其の囁きの直ぐ後に、「エリスちゃぁぁん、此のスカアトを履いておくれよぉ!」という男性の叫び声がした。
・・・彼が、首領?何か色々とイメージ違いな・・・
私は男性の間抜けな声に、思わず戸惑って仕舞った。
_____が、ポートマフィアのキャラクターの濃さは、こんな物では無かったのだった。
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世河経(プロフ) - 文ストもアクタージュも大好きです!クロスオーバーしたかったんですが、「どうする……?」と思考停止状態で、「ふおおおそう来たか!」って驚愕しました!!!こんなに面白いのに何で星が赤くない……?(煩くてすみません。あと連コメごめんなさい) (2021年8月3日 12時) (レス) id: 58edaa5afd (このIDを非表示/違反報告)
世河経(プロフ) - 天香さん多分文スト滅茶苦茶読み込んでいらっしゃいますよね?!要所要所に小説で見たような表現が……。すごいです!何課、本当に。、私が目指してるやつで。。。尊敬してます!! (2021年8月3日 12時) (レス) id: 58edaa5afd (このIDを非表示/違反報告)
☆天香☆ - ちづさん» は、発狂ですか!?御馳走様です!(錯乱)アクタージュと文ストのクロスオーバー全然無いですよね・・・僕もまだまだ未熟なので、お見苦しい点は多々あると思いますが、貴重なクロスオーバー作家(オイ)として頑張ります(笑) コメントありがとうございます! (2020年4月17日 22時) (レス) id: 63e3e21700 (このIDを非表示/違反報告)
ちづ - アクタージュも文ストもめちゃくちゃ好きで好きで!!!!!!この作品を見つけた時発狂しちゃいました笑応援してます!! (2020年4月17日 10時) (レス) id: d5e82ff792 (このIDを非表示/違反報告)
☆天香☆ - 蟹江さん» え・・・(歓喜の余り思考停止)こんな所まで来て下さるとは・・・!貴方のお言葉で完結まで突っ走る気力が湧いて来ました!!アクタージュはガチで神作なので是非ご一読をお勧めします!!貴方の為に更新頑張ります!!! (2020年4月16日 11時) (レス) id: 63e3e21700 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:☆天香☆ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/amaka00/
作成日時:2020年3月12日 13時