誠実さと返答。 ページ41
芥川さんが、私の目を真っ直ぐに見て云った。
然し私は如何しても反応の仕方が判らず、目を逸らして仕舞う。
謎の沈黙が私と彼の間を満たす。
芥川さんの顔が、じわじわと赤くなって行くのを視界の端に捉えつつ、私はとてつもない罪悪感に襲われている。
・・・済みません、芥川さん。なまじ恋愛経験が無いもので、如何答えるべきか判らないんです・・・
私が心の中で密かに謝っていると、其れが聞こえたのか、芥川さんは急に「貴様ぁ！」と云って胸ぐらを掴もうとして来た。
『うわ、す、済みません！』
「謝るな！余計妙な空気になるだろうが！」
『・・・確かにそうですけど』
私が口ごもると、芥川さんは明らかに苛付いた様に此方を睨む。
何だろう、此れ、俗に云う「告白」みたいな物の筈なのに、私怒られてばっかりだな。
「・・・A、迷惑か?」
芥川さんが私を睨んだ侭、不意に云った。あまりに突然だった物で、私は『へ?』と間の抜けた返事をした。
「・・・先刻の僕の発言の事だ。僕に好かれるのは迷惑かと聞いているのだ」
彼は爪先でアスファルトをカツカツと叩きながら云った。
私は一瞬呆気に取られた後、直ぐに答えた。
『いえっ、真逆！芥川さんは私の、憧れですから』
正直な私の返答に、彼は小さく顔をしかめた。
「・・・其れだけか」
彼は忌々しそうに云う。何処か自己嫌悪の様にも聞こえる其の響きに、私は首を傾げた。
けれど其の違和感は一瞬で、彼は直ぐ言葉を続けた。
「貴様は僕を、恋愛対象としては見ぬか?」
其の率直な言葉に、私の頬はみるみる熱くなろうとする。恋愛経験など零の私に、此の流れは余りに酷だろう。
だがしかし、なけなしの役者魂を以て、私は動じていない風を装いにこりと笑った。
・・・のだけど。
芥川さんが、突然私の頬をむにっと引っ張ってきた。
『痛っ！?』
「貴様・・・変に笑って誤魔化すな」
芥川さんは私の頬をつねった侭で、不機嫌そうに云った。
「貴様の誤魔化し笑いは、整ってはいるが不快だ。僕が見たいのは其の様な表情ではない」
むっすりと不機嫌そうな表情で、核心を突かれた。少し気まずい。
「・・・其れで、どちらだ。貴様は僕を、恋愛対象として見ぬのか否か」
芥川さんが、私の頬をつねるのを止めて、誠実な目で此方を見る。
彼の時折見せる誠実さに、私は如何も弱くて、遂に私は、返事をするべく口を開いた。
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世河経(プロフ) - 文ストもアクタージュも大好きです！クロスオーバーしたかったんですが、「どうする……？」と思考停止状態で、「ふおおおそう来たか！」って驚愕しました！！！こんなに面白いのに何で星が赤くない……？（煩くてすみません。あと連コメごめんなさい） (2021年8月3日 12時) (
レス) id: 58edaa5afd (このIDを非表示/違反報告)
世河経(プロフ) - 天香さん多分文スト滅茶苦茶読み込んでいらっしゃいますよね?!要所要所に小説で見たような表現が……。すごいです！何課、本当に。、私が目指してるやつで。。。尊敬してます！！ (2021年8月3日 12時) (レス) id: 58edaa5afd (このIDを非表示/違反報告)
☆天香☆ - ちづさん» は、発狂ですか!?御馳走様です!(錯乱)アクタージュと文ストのクロスオーバー全然無いですよね・・・僕もまだまだ未熟なので、お見苦しい点は多々あると思いますが、貴重なクロスオーバー作家(オイ)として頑張ります(笑) コメントありがとうございます! (2020年4月17日 22時) (レス) id: 63e3e21700 (このIDを非表示/違反報告)
ちづ - アクタージュも文ストもめちゃくちゃ好きで好きで！！！！！！この作品を見つけた時発狂しちゃいました笑応援してます！！ (2020年4月17日 10時) (レス) id: d5e82ff792 (このIDを非表示/違反報告)
☆天香☆ - 蟹江さん» え・・・(歓喜の余り思考停止)こんな所まで来て下さるとは・・・!貴方のお言葉で完結まで突っ走る気力が湧いて来ました!!アクタージュはガチで神作なので是非ご一読をお勧めします!!貴方の為に更新頑張ります!!! (2020年4月16日 11時) (レス) id: 63e3e21700 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：☆天香☆ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/amaka00/
作成日時：2020年3月12日 13時
