突然の告白。 ページ40
私の前を往く芥川さんは、何処か不機嫌な雰囲気で歩いていた。
「全く、少しは使える様になったかと思えば・・・相変わらず手間の掛かる奴だ」
カツカツと硬い靴音を鳴らしながら、彼は退屈そうな声で云う。
『えっと・・・済みません』
私は芥川さんの後ろを足早に歩きながら、俯き気味に云った。
「貴様が突然完璧超人になった方が不気味だ。別に構わぬ」
芥川さんは相変わらず不機嫌そうに、「早く歩け」と私を呼んだ。
『・・・はい』
・・・何だろう。別に彼が云っている事は正論だし、何の間違いも無いのだけど・・・何と云うか、彼に「お前の居場所は此処だ」と断言された其の直後に此の塩対応だと、流石に一寸複雑な気持ちだ。
そんな、ぶつけ場所の無いもやもやを燻らせつつ歩いていると、彼が不意に独り言の様に話し始めた。
「・・・貴様は本当に、どれだけ僕の手を煩わせれば気が済むのだ。全く、貴様と居ると調子が狂うのだ」
如何返せば善いのか判らず困惑していると、芥川さんは私を見て吐き捨てた。
「・・・察しが悪いな貴様は」
『・・・え?』
意味が判らず、ぱちぱちと瞬きをしていると、芥川さんは突然立ち止まって、苛立った様に踵を返し____此方へ近付いて来た。
「・・・・・・本当に、何なのだ貴様は!もう少し察しが善くても善い所だろう!大体、貴様は敏感そうな顔をしていて、肝心な所で鈍感なのだ!全く貴様は、」
『え、ご、御免なさ・・・え?』
原因不明の御説教が始まったかと思いきや、何やら不穏な科白が聞こえて、私は首を傾げた。
・・・一寸待って下さい。何ですか其の
『・・・あの、自意識過剰でしたら申し訳無いんですが、其れって若しかして・・・』
私は恐る恐る彼に尋ねる。すると彼は忌々しげに舌打ちをする。
「・・・貴様、其れを僕に云わせる気か?」
・・・そういう答えが返って来るという事は、恐らく私の考えは合っているのだろう。
私は如何いう返しをすれば善いのか判らない。役者としてなら兎も角、実際の恋愛経験なんて、私には一切無かったから。
黙っていると、彼は溜め息を吐いた。
「・・・此の侭では埒が開かぬ。判った、云ってやる」
其の言葉に、私は緊張で体を竦める。そんな私に構わず、彼は云った。
「A。僕は、貴様が好きだ」
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世河経(プロフ) - 文ストもアクタージュも大好きです!クロスオーバーしたかったんですが、「どうする……?」と思考停止状態で、「ふおおおそう来たか!」って驚愕しました!!!こんなに面白いのに何で星が赤くない……?(煩くてすみません。あと連コメごめんなさい) (2021年8月3日 12時) (レス) id: 58edaa5afd (このIDを非表示/違反報告)
世河経(プロフ) - 天香さん多分文スト滅茶苦茶読み込んでいらっしゃいますよね?!要所要所に小説で見たような表現が……。すごいです!何課、本当に。、私が目指してるやつで。。。尊敬してます!! (2021年8月3日 12時) (レス) id: 58edaa5afd (このIDを非表示/違反報告)
☆天香☆ - ちづさん» は、発狂ですか!?御馳走様です!(錯乱)アクタージュと文ストのクロスオーバー全然無いですよね・・・僕もまだまだ未熟なので、お見苦しい点は多々あると思いますが、貴重なクロスオーバー作家(オイ)として頑張ります(笑) コメントありがとうございます! (2020年4月17日 22時) (レス) id: 63e3e21700 (このIDを非表示/違反報告)
ちづ - アクタージュも文ストもめちゃくちゃ好きで好きで!!!!!!この作品を見つけた時発狂しちゃいました笑応援してます!! (2020年4月17日 10時) (レス) id: d5e82ff792 (このIDを非表示/違反報告)
☆天香☆ - 蟹江さん» え・・・(歓喜の余り思考停止)こんな所まで来て下さるとは・・・!貴方のお言葉で完結まで突っ走る気力が湧いて来ました!!アクタージュはガチで神作なので是非ご一読をお勧めします!!貴方の為に更新頑張ります!!! (2020年4月16日 11時) (レス) id: 63e3e21700 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:☆天香☆ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/amaka00/
作成日時:2020年3月12日 13時