庇護者の対立。 ページ37
「・・・あなたは何者なんですか」
アキラは、私の後ろから歩み寄って来た芥川さんに、緊張したような口調で云った。
「事も無い。Aの同僚だ」
対して芥川さんの口調は至って余裕綽々。淡々とした足音で私の隣に並んだ。
『・・・芥川さん、如何して』
「案ずるな、部下用の車は見送った後だ。厭な予感がした故貴様の後を追って来たのだが・・・如何やら大正解だった様だな」
芥川さんはにこりともせず肩を竦めて、アキラに向き直った。
「さて。なれば、次は貴様の立場を教えて貰う番だ」
アキラは久しぶりに自分を知らない人に会ったのか、少し困惑を表情に滲ませていた。けれどそれ以上に、芥川さんの敵意を剥き出しにした態度に、顔を強張らせていた。
「・・・僕は、星アキラです。彼女の仲間だ」
アキラの声は、聞いた事が無い程に硬い感触だった。
「Aさんが犯罪に手を染めたのは、あなたのせいなんですね?」
彼の、私の殺し屋としての数ヶ月を丸ごと否定する様な言い方に、寧ろ私の方が食ってかかりそうになって仕舞う。
『アキラ____』
食って掛かろうとした其の時に、芥川さんが私を手で制した。
「然り。Aを黒社会に勧誘したのはこの僕だ」
突然に私を庇う様な態勢に入った芥川さんに、私は動揺していた。
彼は冷淡な口調ながらも、私を守る様に立っていた。
・・・何で、私なんかを。
そう思いながら、私は俯きがちにアキラを見ていた。
「Aさんは役者です。人殺しじゃない」
アキラは、芥川さんを睨む様にして云った。
「彼女の居場所はスターズの他に無い。・・・あなたといるのは、Aさんの為にもなりません」
アキラの言葉に、また自分が揺らいでいく。
・・・そうなのだろうか。私がマフィアに居る事は、間違った事なのだろうか。
・・・判っている。私がこうもアキラの言葉に揺らいで仕舞うのは、彼が私の事を思ってくれて居るからであり、私も彼を、スターズを忘れられずにいるからだ。
「愚者の発想だな」
私の思考を断ち切る様に、芥川さんが鼻を鳴らした。
「其れがAの為に成るか否かは、他でもない本人が決める事だ。そんな事も判らぬか」
芥川さんは忌々しげに云う。そして、私にちらりと視線を寄越した。寧ろ温かい声で、彼は云う。
「貴様が決めろ、A。自分の意思を口に出せ。話は其れからだ」
27人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
世河経(プロフ) - 文ストもアクタージュも大好きです!クロスオーバーしたかったんですが、「どうする……?」と思考停止状態で、「ふおおおそう来たか!」って驚愕しました!!!こんなに面白いのに何で星が赤くない……?(煩くてすみません。あと連コメごめんなさい) (2021年8月3日 12時) (レス) id: 58edaa5afd (このIDを非表示/違反報告)
世河経(プロフ) - 天香さん多分文スト滅茶苦茶読み込んでいらっしゃいますよね?!要所要所に小説で見たような表現が……。すごいです!何課、本当に。、私が目指してるやつで。。。尊敬してます!! (2021年8月3日 12時) (レス) id: 58edaa5afd (このIDを非表示/違反報告)
☆天香☆ - ちづさん» は、発狂ですか!?御馳走様です!(錯乱)アクタージュと文ストのクロスオーバー全然無いですよね・・・僕もまだまだ未熟なので、お見苦しい点は多々あると思いますが、貴重なクロスオーバー作家(オイ)として頑張ります(笑) コメントありがとうございます! (2020年4月17日 22時) (レス) id: 63e3e21700 (このIDを非表示/違反報告)
ちづ - アクタージュも文ストもめちゃくちゃ好きで好きで!!!!!!この作品を見つけた時発狂しちゃいました笑応援してます!! (2020年4月17日 10時) (レス) id: d5e82ff792 (このIDを非表示/違反報告)
☆天香☆ - 蟹江さん» え・・・(歓喜の余り思考停止)こんな所まで来て下さるとは・・・!貴方のお言葉で完結まで突っ走る気力が湧いて来ました!!アクタージュはガチで神作なので是非ご一読をお勧めします!!貴方の為に更新頑張ります!!! (2020年4月16日 11時) (レス) id: 63e3e21700 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:☆天香☆ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/amaka00/
作成日時:2020年3月12日 13時