正直者の血臭。 ページ24
「・・・本当の事等、貴様に教える気は無いが」
僕は、底知れぬ明神の瞳を睨みながら云った。
「ふーん。でも俺、結構Aと仲良くしてたから、アイツの今の職業くらいは知りたいんだけど」
「知った事か」
此の男を殺せれば楽なのだが・・・人虎との約束で人殺しは出来ぬ、其れに加えて今此奴を殺せば恐らく大騒ぎになる。面倒は嫌いだ。
「・・・っていうか、アンタはそう言うけどさ、Aの事心配してんのは俺だけじゃないよ?俺と同じ劇団の中でも、Aの事心配してる奴はいっぱいいるし、外部ってなればもっと多い」
明神が、冷徹な視線を此方に向けた。
「アイツの事無理矢理利用とかしてたら、俺が許さない」
僕は其の馬鹿げた発言を鼻で笑う。
「笑止。Aを利用し棄てたのは、貴様等芸能界の方だろう?」
明神の頬が、判り易く引きつった。
「・・・それは、一部の人間の話だ」
「如何だかな」
ふん、と鼻で笑う。僕はとどめの様に云った。
「Aの居場所は、彼奴を棄てた貴様等ではなく、彼奴を拾った僕等だ」
明神が、微かに顔を歪めた。何か言い返そうとしていた。
其の時、車のエンジン音が聞こえた。如何やら、中原さんが寄越した迎えが到着しようとしているらしい。
明神に絡まれている暇も無い。そろそろ樋口や立原ら部下を呼ばねば。
そう考え、一旦敵拠点に戻って部下達に声を掛けようと身を翻すと、明神の声がした。
「・・・ねぇ、アンタ、随分臭うよね」
僕は、足を止める。
「・・・如何云う意味だ」
「物理的な意味でも、精神的な意味でも。随分物騒な臭いがするよ、_____まるで血臭みたいな」
其の言葉に思わず振り向いた。・・・此の男の鋭さは、異常だ。
「やっぱり図星か。君は嘘吐くの下手だよね、珍しい位の正直者だ。嫌いじゃない」
挑発するような其奴の台詞に噛みつきかけて、けれど明神は僕が噛みつく前に云った。
「真逆Aを其の物騒な生活に巻き込んでなければ、の話だけど」
僕は思わず反論を呑み込む。そんな僕の様子を見て、明神は面白くも無さそうに云った。
「・・・んじゃ、アンタが予想以上に判りやすかったから、俺はもう帰るね」
まるで勝ち逃げの様な其の口振りに、僕は何も云えず明神を睨んでいた。
明神と別れた後、背中に負ったAの温もりが、妙に重く感じられていた。
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世河経(プロフ) - 文ストもアクタージュも大好きです!クロスオーバーしたかったんですが、「どうする……?」と思考停止状態で、「ふおおおそう来たか!」って驚愕しました!!!こんなに面白いのに何で星が赤くない……?(煩くてすみません。あと連コメごめんなさい) (2021年8月3日 12時) (レス) id: 58edaa5afd (このIDを非表示/違反報告)
世河経(プロフ) - 天香さん多分文スト滅茶苦茶読み込んでいらっしゃいますよね?!要所要所に小説で見たような表現が……。すごいです!何課、本当に。、私が目指してるやつで。。。尊敬してます!! (2021年8月3日 12時) (レス) id: 58edaa5afd (このIDを非表示/違反報告)
☆天香☆ - ちづさん» は、発狂ですか!?御馳走様です!(錯乱)アクタージュと文ストのクロスオーバー全然無いですよね・・・僕もまだまだ未熟なので、お見苦しい点は多々あると思いますが、貴重なクロスオーバー作家(オイ)として頑張ります(笑) コメントありがとうございます! (2020年4月17日 22時) (レス) id: 63e3e21700 (このIDを非表示/違反報告)
ちづ - アクタージュも文ストもめちゃくちゃ好きで好きで!!!!!!この作品を見つけた時発狂しちゃいました笑応援してます!! (2020年4月17日 10時) (レス) id: d5e82ff792 (このIDを非表示/違反報告)
☆天香☆ - 蟹江さん» え・・・(歓喜の余り思考停止)こんな所まで来て下さるとは・・・!貴方のお言葉で完結まで突っ走る気力が湧いて来ました!!アクタージュはガチで神作なので是非ご一読をお勧めします!!貴方の為に更新頑張ります!!! (2020年4月16日 11時) (レス) id: 63e3e21700 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:☆天香☆ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/amaka00/
作成日時:2020年3月12日 13時