【文スト】其の女優の行く先は【アクタージュ】

避役俳優と禍狗。 ページ23

「・・・何故、Aの事を知っている」



得体の知れぬ雰囲気の其の男を、睨みながら云う。すると黒髪の男は、態とらしく肩を竦めた。



「何でって、それはこっちが知りたいんだけど。何でアンタはAの事をおぶってんの?って」



鼻に掛かった口調に、思わず噛み付こうとすると、男はそれを制する様に云った。



「まぁいいや。・・・俺は、住野Aの同業者の、明神阿良也だ」



聞いた事の無い名だった。が、Aの同業者と云うからには、役者なのだろう。



僕が其の話題に疎いだけで、世間的に云えば有名な男なのかも知れぬ。後で樋口や銀に聞いてみるか。



「・・・で。アンタは何者で、何でAの事をおぶってるの?」



飄々とした瞳が、僕の事を覗き込んだ。



「僕は芥川。Aの、現在の同業者だ」



明神と名乗った男が、「へぇ」と冷たく目を細めた。




「Aが転職したって言うのか?・・・有り得ないね」



「だが事実だ」



飄々といけ好かぬ其の表情を、ぎろりと睨み付けた。



「へえ・・・良い目だね。でも、やっぱりAが転職したっていうのは信じられないかな。あいつが役者以外の仕事に就けるとは思えない」



饒舌な男だ。僕は眉間に皺を寄せる。



「確かに彼奴は役者だ。役者として、今の仕事に携わっている。だが、彼奴の職業は役者では無い」



「なかなか意味が分からない事を言うんだね」



明神は僕の言葉の意味を考える様に頬に手を当てた。



「結局どういう事なんだ?Aは今、どこで何の仕事をしてる?」



「・・・貴様に云う理由が無い。取るに足らぬ仕事だ」



故に早急に立ち去れ。そんな思いを込めて明神を睨んだ。



すると明神は、唇の端だけを上げて僕を嗤った。



「・・・ふーん、アンタは嘘吐くのが下手だね」



俺は人の嘘が判るんだ＿＿＿＿と、奴は愉しげに微笑んだ。



「本当の事を教えて貰う迄、俺は立ち去らないよ」



*****


1,000hit突破&星黄色有難う御座います！



此処最近で1番嬉しいニュースでした・・・読者の皆様大好きです・・・



読者様のお蔭でモチベ爆上がりしたので、更新頑張ろうと思いましたまる

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