女優への糾弾。 ページ3
「先輩、住野Aちゃんの事御存知無いんですか!?」
私が『樋口さん』の行動を怪訝に思っていると、彼女は青年に対して反論を始めた。
「知らぬ」
「百城千世子ちゃんとか星アキラさんに並ぶ超人気女優ですよ!?」
「抑々どちらも知らぬ」
あまり聞きたく無い名前が耳に入り、私は少し顔をしかめた。
嘗ては友達であり、善き好敵手でもあった彼等とは、もう逢う事も出来ない_____否、逢いたくもない。
「・・・先輩、テレビとか見ないんですか?」
「下らぬ」
黙り込んだ私をよそに、2人は軽快に漫才の様な遣り取りを続ける。
私は其れを善い事に笑顔を作った。非の打ち所の無い完璧な笑顔。
『あの、私は、もうそろそろ行かなければいけないので』
「ああ!待って下さいサインだけ!」
存外執念深い彼女に、私の完璧な作り笑顔が僅かに引きつる。
『・・・あの、御存知無いですか?私、もう女優は辞めたんです』
だからそう云って、柔らかく、困った様に、拒絶を表す笑みを見せた。
「・・・え?」
『樋口さん』が、困惑した表情をした。
『御存知無かったんですね。実は、隠していたある事が知られて仕舞い、女優を辞める事に成って仕舞ったんです』
目を伏せがちに云うと、『樋口さん』は「そうだったんですか・・・」と沈痛な面持ちで云った。
よし。今だ、此の空気を利用して別れを切り出そう。
そう思い口を開き掛けると、突如彼女の雰囲気が『変わった』。
「其の『ある事』と云うのは・・・此の
彼女は、先程手帳を出したのと同じように、一枚の写真を私に見せた。
其れには、人の形を留めない、巨大な黒い塊の様な「化け物」が写っている。
一瞬、息が止まって。
私は直ぐに否定しようとした。けれど彼等は、一瞬の沈黙を肯定ととった様だった。
「貴様が、危険異能者・住野Aだな?」
黒外套の青年が薄く笑った。全身に悪寒が走る。
『いえ、』
私が口を開き掛けた其の瞬間に、首筋に違和感があった。
・・・嗚呼、何故。何故、よりによって今。
日が沈んで仕舞ったんだ?
私の後ろに、巨大な化け物の影が現れる。まるで闇の塊の様な。
其れは、たちまち私を飲み込み、そして闇で閉ざして仕舞った。
____夜が、異能の時間が、始まった。
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世河経(プロフ) - 文ストもアクタージュも大好きです!クロスオーバーしたかったんですが、「どうする……?」と思考停止状態で、「ふおおおそう来たか!」って驚愕しました!!!こんなに面白いのに何で星が赤くない……?(煩くてすみません。あと連コメごめんなさい) (2021年8月3日 12時) (レス) id: 58edaa5afd (このIDを非表示/違反報告)
世河経(プロフ) - 天香さん多分文スト滅茶苦茶読み込んでいらっしゃいますよね?!要所要所に小説で見たような表現が……。すごいです!何課、本当に。、私が目指してるやつで。。。尊敬してます!! (2021年8月3日 12時) (レス) id: 58edaa5afd (このIDを非表示/違反報告)
☆天香☆ - ちづさん» は、発狂ですか!?御馳走様です!(錯乱)アクタージュと文ストのクロスオーバー全然無いですよね・・・僕もまだまだ未熟なので、お見苦しい点は多々あると思いますが、貴重なクロスオーバー作家(オイ)として頑張ります(笑) コメントありがとうございます! (2020年4月17日 22時) (レス) id: 63e3e21700 (このIDを非表示/違反報告)
ちづ - アクタージュも文ストもめちゃくちゃ好きで好きで!!!!!!この作品を見つけた時発狂しちゃいました笑応援してます!! (2020年4月17日 10時) (レス) id: d5e82ff792 (このIDを非表示/違反報告)
☆天香☆ - 蟹江さん» え・・・(歓喜の余り思考停止)こんな所まで来て下さるとは・・・!貴方のお言葉で完結まで突っ走る気力が湧いて来ました!!アクタージュはガチで神作なので是非ご一読をお勧めします!!貴方の為に更新頑張ります!!! (2020年4月16日 11時) (レス) id: 63e3e21700 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:☆天香☆ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/amaka00/
作成日時:2020年3月12日 13時