とある少女の結末【D.Gray-man】 (ページ20)

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時間ページ20

気付けば花畑の真ん中に私と彼女は立っていた。
ゆらゆらと彼女の服は揺れている。
とても悲しげな面持ちでそこに、立っていた。

｢ごめんね｣
｢いなく、なるの？｣
｢えぇ。元気でね｣

彼女の足元から色素が抜け、透明になっていく。

｢ずっと嫌だったの。ノアになった事。苦しくて、悲しくて…｣

膝まで見えなくなった。

｢貴女といると、凄く楽しかったの。知らないなんて嘘だった｣

腰まで見えなくなった。

｢敵味方関係なくて…｣

胸まで見えなくなった。

｢嬉しかったんだね、貴女も｣
｢そう、嬉しかった。幸せだった｣

首まで見えなくなった。
その表情は穏やかで、どれだけ幸福だったのかは一目瞭然だった。

｢ありがとう。残り時間は少ない。だから…私のように後悔しない道を貴女は選択して｣
｢選択…｣
｢あぁ、また会いたいなぁ｣

綻ぶように笑うと強い風が吹く。
風に巻き上げられた花弁と共に、彼女は消えた。
そのまま天高く舞って逝く。
しばらく間を置いてそれを理解した瞬間、ぽろぽろと涙が溢れた。

｢関係、ないよ…｣

ぐっと涙を拭いて言葉を紡ぐ。

｢また…また会える。例え離れ離れになっても、こうやって出会えたんだから｣

彼女が消えた場所まで近づいて力強く、逝ってしまった彼女にも届くように大きな声で叫ぶ。

｢きっと、またどこかで！！｣

さぁ、私はもう目を覚ます時間だ。