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「めーいっ」

「あーカルロス」


「期待してるぜー今日のピッチングも」と頭を小突いてやると、
「任せなさい」とにやーっと笑われた。


何様だという気持ちで彼を苦笑いで見つめる。



「カルロス!そいつにもう話しかけるな!
アップなのに飛ばしすぎてるから煽んじゃねぇ!」

「あ、すいません原田さん」


.



たしかに。

さっきからアップとは思えないスピードで淡々と投げている鳴。

まあ、あれだ。

愛しの中野っちが見てるから気合が違うんだろうけど。


.


「ねぇカルロス」

「あー?」

「さっきからAちゃん、全然こっち見てないよねー」

「………」



鳴の視線の先を見ると、

中野っちは、陽子ちゃんと話をしている。


鳴の声は、明らかに嫉妬しているそれで。


こいつは好きな子の女友達にも嫉妬するのかと、ちょっと吹き出してしまって、鳴に睨まれた。


「……なに笑ってんの」

「…あ、いや……陽子ちゃんにも嫉妬すんだなーと思って」

「別に嫉妬じゃないけど、
よしこちゃんがAちゃんに抱きついてた時も、はぁ?とは思ったね」

「陽子ちゃんな。

ていうかそれを嫉妬って言うんだよ」


「まあ、嫉妬でもなんでもいいけどさぁ
…Aちゃんは…」


.


鳴が言いながら投球フォームに入る。

さっきよりまた一段と増した手の振りのスピード。

どんだけ飛ばすんだ。



.



「俺だけ見てればいいんだよ」



.



ズパーンっ


いい音が響いて、会場がどよめく。


とんだ俺様男だな。

なんて思いつつ、中野っちの方を見ると、
陽子ちゃんの方からこっちに向き直って、

ぽかーんと口を開けて見ている。


「…」

「にやけてんじゃねぇよ」

「あーはやくマウンドで投げたい!」


こっちに釘付けの中野っちを見て、
嬉しそうに口元をグローブで隠す鳴。


無邪気なのか俺様なのかよくわからないけど、こいつは中野っちに相当重症らしい。



「鳴!いい加減、加減して投げろ!!」


原田さんが駆け足でこっちに来て、
ニヤニヤしている鳴をごつんと殴った。


「うるさいなーわかってるよ」

「お前そんないつも以上に自己中心的にやってると、試合中マウンド降ろされるぞ」

「げっ。監督睨んでる」

「さっきからずっと睨んでるよ」

.

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設定タグ:ダイヤのA , 成宮鳴   
作品ジャンル:ラブコメ
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作者名:ちか | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2014年2月14日 18時

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