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「疲れたー！雅さん今夜のメニューなにー！」
雅さんの背中を無駄に叩きながら、練習終わって部室に入る。
と、カルロスに笑われる。
「どうした鳴。テンション高くねぇか、今日」
「やっぱりわかっちゃう？」
「いつも以上に球も切れてたし」
「いやー参っちゃうなぁ」
アンダーを脱いでいつものTシャツに腕を通す。
「Aちゃん、今度の練習試合見に来てくれるんだって」
「鳴のお気に入りの…」
「この間まであんなに拒絶されてたのによかったじゃん」
「白河」
後ろから頭にぽんと手を置かれて振り向くと、白河が後ろに立っていた。
「鳴に好かれてなびかない女の子って初めてじゃねぇ？」
「Aちゃんは、なんか他の女の子とは違うからさ」
「そこがいいんじゃん。
分かってないなぁみんな」
「中野が見に来るってことは、鳴の高1からの夢が叶ったってことだな」
「雅さん！！！」
「夢？」「なにそれ」と騒ぎ立てる彼らのまえで、必死に雅さんを止める。
かおが熱くなるのがわかる。
「こいつ、ずーっと一年の時からAちゃんが見に来てくれたら頑張れるのにって」
「へー」
「鳴ちゃんかわいいー」
「うっさい！こっち見るな！
お前らには関係ない！」
ニヤニヤしてこっちを見てくる野球部メンバーに背を向ける。
何ともなさそうなかおで着替えを続ける雅さんを睨みつけると、今度は白河が喋り始める。
「鳴がAちゃん好きになったのって」
「白河！黙れって言ってんだけど！」
白河を睨むと、ロッカーをバンッとしめる。
うるせぇと言われたけど、今回はみんなが悪いと思う。
いつもだったら、
からかわれたら腹立って、相手が懲りるまで相手のこともいじり倒すところだけど、
今日は、
腹は立つけど、笑いが止まらない。
上がった頬を下げようとしても下げれない。
「何にやけてんだ」
「…雅さん！明日はかっこいいとこ見せるんだから、ちゃんととってよ！」
「いつもとってるだろーが」
「みんなも、俺のピッチングを際立たせるバッティングよろしくー！」
エナメルバックを担いで、ブーイングの聞こえる部室を後にする。
明日は、
俺より速い球を投げる青道の怪物くんにも会えるし、
Aちゃんも見に来てくれる。
いいこと尽くしだ。
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Aちゃんが、
俺から目を離せなくなるくらい、
すげーピッチングを見せつけてやる。
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