【◇】私と成宮 (ページ50)

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「んー！うま！」

「…戻らなくていいの」

「いいのいいの、もうちょっと」

便乗して自分までりんごを頬張る成宮を呆れたように見つめていると、「ねぇAちゃん」と楽しそうに話し始める。

「今日、陽子ちゃんが一人でお昼ご飯食べててさ、偶々会って少し話したんだけど」

「ふーん…」

「陽子ちゃん、今日カルロに告るってよ」

「は？」

なんでもない顔で言い放つ成宮に呆然とする私。なにがどうなっていきなりそんな展開になったんだ。
私の疑問が顔に出ていたのか、「俺がね」と話し続ける成宮。

「好きなら好きって言わなきゃ損だよって言ったら気合入っちゃったみたいでさ」

「……………陽子は成宮とは違うんだからさ…」

「えーそうかなぁー…」

「そうなの。陽子は成宮と違って内気だしずっとずっとカルロスくんへの気持ちを内に秘めてきたんだから」

「平気で好きとか言える成宮とは違うんだって」と怒ったように言えば、きょとんとした顔で私を見つめて少し寂しそうに笑った。

「Aちゃん」

「ん？」

「なんで俺がAちゃんのこと好きになったか、知ってる？」

「……………知らない」

「俺、Aちゃんのこと高一のときからずっと好きだったよ」

ベッドの上に置かれた私の手をぎゅっと握って、少し顔を赤らめていう成宮に、私は面食らう。

高一のときから？

そんなに前から？

言われてみれば、成宮は初対面のときから私のことを「好きだ」と言っていたし、なんで彼が私のことを好きなのか、聞いたことはなかった。聞きたいとも思ってなかったわけだけど。

「Aちゃんは覚えてないかもしれないけど、俺たち、高一の時に一回話してる」

「……………え」

黙る私に「ホントに覚えてないかー」と苦笑いする成宮。

「ごめん」と小さく謝ればぎゅっとまた強く手を握られた。

「前にも言ったけど、中途半端な気持ちで、冗談でAちゃんのこと好きなわけじゃないよ、俺」

「…………」

「本気。マジ」

「……高一の時、いつ、どんな風に話したの、私たち」

「聞かせて」と成宮の顔を見つめ返すと、少し顔を赤らめながら顔をそらしてぼそぼそと話し始めた。

「なんかすげぇ恥ずかしいから、言うつもりなかったんだけど…」

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