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「姉ちゃん大丈夫!?バカは風邪をひかないって本当なんだな!頭いいと引くんだな!」
「………良太うるさい」
「良太ーあんた学校でしょ。準備しなさい」
「Aは今日はお休みしなさい」とお母さんに言われて小さく頷く。良太は渋々といった感じで準備をしに行った。
翌朝起きると、ガンガンと痛い頭と軽く寒気のする身体。完全に成宮の風邪がうつっている。
「成宮さんとナニしたんだか…」とニヤニヤ見てくる良太に「何もしてないわ」とキレながら布団に潜る。
__心当たりがないわけではない。
あれだけ近づいてこられれば、どれだけきちんと予防してたって無理だって話だ。
私は溜息をつきながら飲んだ薬の副作用で朦朧とする意識の中目を閉じた。
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コンコンっ
扉のノックの音で目をさますと、お母さんがリンゴを持って部屋に来ているところだった。
時計を見ると既に4時。半日ぐらい寝ていたらしい。
「大丈夫?」
「うん、大分」
「じゃ、大丈夫ね。成宮クーン」
「あ、入ってもいいですか?」
私の回復をみたお母さんは私の部屋の扉の方を軽く手招きする。そこからひょこっと覗いたのは、ユニフォーム姿の成宮だった。
「は!?なんで……ゴホッゴホッ」
「じゃ、あとは若い二人でゆっくりね♡」
「はーいありがとうございまーすお義母さん♡」
吃驚して咳き込む私を他所に、すっかり仲良くなっているお母さんは成宮に手を振って部屋から出て行った。
成宮は私の頭をぽんぽんと嬉しそうに撫でる。
私は慌ててその手を払いつつ「なんで!?」と尋ねた。
「俺がうつしたも同然だからさ、お見舞いにね」
「来なくていいから!帰って!」
「酷いなぁー。付きっ切りで看病してあげるよ?」
「いらない!」
「遠慮しないで〜……っても、部活のランニングと称してサボってるからあんまり長くはいられないんだけどね」
私の机の椅子に腰をかけてくるーんと椅子を回す。
「帰って」と言うのも頭が痛くて、溜息をつきながら寝転がれば「幸せ逃げるよ?」と笑われた。
「ほら、この前のお返し!あーん」
「……いらない。食欲ない…」
リンゴを突き出してくる成宮に背を向けて布団に潜ると、グゥゥ〜っと私のお腹がなる。
お腹を押さえると、背中の後ろから成宮の笑い声が聞こえた。
「……朝しか食べてないから…」
「はいはい、ほら、食べなってあーん」
「……」
渋々口を開いた。
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