48. ページ48
白河
.
「おせーな、鳴のやつ」
「どこまで飲み物買いに行ったんだ…」
カルロスと二人で教室の窓際に座って外を眺める。
お昼休み、成宮は「飲み物買ってくるー」と言って教室を出て行って、10分くらい経ったけど帰ってこない。
数学の宿題をやっていると、カルロスが突然身を乗り出して俺の方をニヤニヤと見てくる。
「……なんだよ」
「や、この前のデートどうだったのかなーと思ってよ」
「……お前、今度絶対埋め合わせしろよ」
「悪い悪い、じゃ、今度陽子ちゃんと三人でどっか行くか」
「……」
「なんだよ」
「……いや、西本も不憫だなと」
「三人で」どこか行こうとか言い出す始末。
西本もここまで報われないと不憫になってきた。
あんなに好き好きオーラ全開で接してるのに気づかれないとは。
まあ、カルロスの場合、気づかないふりをしているということもあるだろうけど。
「中野っちと鳴がくっつくのも時間の問題だろうしなぁ…。お前と陽子ちゃんがくっついて、俺はどこかのグラマーなお姉さんでも…」
「……なんで俺と西本が」
「いい子だろ?陽子ちゃん」
「……」
なんだその、上から目線は。
冷静に突っ込む俺に、にやりと笑いながら言うカルロス。ため息をつきながら「バカ」とぼそりと呟けば「辛辣ぅ〜」と笑われた。
「いい子と、好きは違うだろ」
「……いい子だってのは認めるんだ。珍しい」
「悪い奴じゃない。…西本の気持ち適当に扱うのも大概にしろよ」
「……んー?なんのこと」
「……」
「なんの話ー?」
カルロスを睨む俺に成宮がいきなり帰ってきた。ため息をつく俺と「なんでも」と言うカルロスに成宮は「へっ」と言いながら拗ねつつ、「あ」とカルロスの方を向く。
「カルロス、陽子ちゃんが放課後話あるってよ。中庭ね」
「……オッケー」
「……西本と会ってたの」
「そうだよ。Aちゃん今日学校休みらしくてさ、一人でご飯食べてたから」
俺の問いに普通に頷く成宮。
話あるなんて確実にそういうことだろ。
カルロスの方を見るけれど、彼は窓の外を眺めながらhip-hopの知らない曲を口笛で吹いていた。
.
645人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ