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陽子
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翌日、久々の一人のお昼ご飯。
最近めっきりAと二人で食べるというのがノーマルになってたから、変な感じだ。ぼそぼそとしたご飯が味気ない。
Aが風邪で休んだ今日、一人でいる教室が堪らなくてお昼休みが始まった瞬間にいそいそと中庭へ逃げ出した。
「あれ、陽子ちゃんじゃん」
「…成宮くん」
「…Aちゃんは?」
「今日、風邪引いて休みだよ」
「…それってやっぱり俺がうつしたのかな」
紙パックのジュースを飲みながら現れた成宮くんは「放課後お見舞い行こ」とつぶやきながら、私の隣にすとっと座った。
成宮くんと二人きりでちゃんと話すのは初めてだ。少し緊張する。
「陽子ちゃん、友達いないの?」
「…Aがいるよ!!」
「冗談じゃーんそんな本気で答えないでよ」
ケラケラと笑う成宮くんに私は一人で苦笑い。
Aもよく言ってるけど、この人は無自覚に失礼な本音を言ってくる人らしい。
「成宮くん、私ね、ほんとにA以外友達いないの」
「うん、知ってるー」
「知ってるの!?」
「だってAちゃんといるところしか見たことないし」
「それもそうだね」と笑えば、「Aちゃん見てたらいっつもいっつも視界の端で陽子ちゃんがチョロチョロと…」とため息をつかれた。この人は本当にAのことが好きなんだなぁ。
「私、中学の時ハブられてたんです」
「…へー」
「女子ってめんどくさいんですよ。すぐに誰々の彼氏とったとか、誰々くんに色目使ったとか…」
「陽子ちゃんの可愛さが仇になったねー」
「…適当?」
「適当じゃないよ。カルロも言ってたよ、かわいーって」
私の話に適当な相槌しか聞こえないけど、座ったまま耳を傾けてくれてるんだから、成宮くんは優しい。
「…カ、カルロスくんは取り敢えず置いといて…それで、遠いけど頑張って稲実受験して入って、初めてできた友達がAで」
突然出てきたカルロスくんの話に火照る頬をあおぎながら話を続ける。
「Aってほら、普通の女の子と違うでしょ?」
「サバサバしてるし、女子のそういうドロドロとは無縁かもね」
「…私が稲実に来た訳を言った時、そんなバカみたいな子たち、見返してやればいいんだよ。って冷静に…」
「Aちゃんらし…」
私の言葉に笑う成宮くんに、一旦お箸を置いてきちんと向かい合う。
「だから、Aは私にとって大事な人だから、…Aをよろしくお願いします」
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