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「鳴ー。中野さん、お前のこと俺と勘違いしてたらしい」
「え?なんでカルロスと俺を勘違いすんの?
うちの学校で俺のこと知らないバカなんていんの?」
「………バカで失礼しました」
「…昨日の今日なのにまさか練習見に来てくれると思わなかったなぁー
やっぱりAちゃんは俺のこと」
「違う!今日も陽子の付き添いで」
「A!き、きのうなにかあったの!?」
「あー俺とAちゃんがキ…」
「わああああああ‼‼陽子!!」
「なに!?」
「わたし一生野球部の応援なんか行かないから!
行くなら一人で行って!!!」
「えええ!?」
「あとあんた!
わたしの半径2m以内に近づかないでってば!」
「じゃああんたじゃなくて鳴くんって呼んでよ」
「絶対いや!!!
これ以上わたしにかかわらないでチビ!!」
成宮に完璧な捨て台詞を吐いて、カバンを掴んでくるんと踵をかえす。
面倒ごとには首を突っ込まない。
これが私の生き方だ。
✳
「あ、あの成宮くん。うちのAに一体何を…」
「ちゅーしただけだよ」
「だけってなんだよ付き合ってるわけでもないだろお前ら」
「だってAちゃんが物欲しげな顔してたから」
「絶対うそだろそれ」
「は、話についていけない…成宮くんがAのことが好きで…」
「陽子ちゃん落ち着いて」
✳
「Aー…そんな怒らないでよ」
さっきから陽子が必死に謝ってくる。
彼女を一瞥すると、カバンを肩にかけて教室の出口に向かう。
「別に陽子には怒ってない」
「でももう野球部のところ一緒に行ってくれないんでしょ?」
「一生行かない」
「じゃあわたしはどうやってカルロスくんに会えば……」
「一人で行って」
「そんなぁ!」
「私がA以外、友達いないの知ってるくせにぃ」とブーブー言われる。
陽子には悪いけど、
これ以上野球部と………成宮と、
関係を持ちたくない。
このまま距離をあければ、あの、
「俺のこと好きでしょ?」
なんともいえない勘違いも消えてなくなるでしょ。
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「Aちゃーん」
「………」
今脳内再生された声が正面から聞こえて
顔をあげると、
案の定、
ひらひら手を振って立ってる成宮鳴。
無言で前の扉に向かう私の手をぐいっと成宮が引っ張る。
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「ちょっと話あるんだけど」
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