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西本陽子
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今日はカルロスくんと、Aと成宮くんとで、出かける日。もとい、ダブルデートの日。
ダブルデートなんて初めての経験で、ましてや大好きな彼と一緒に出かけられるなんて、私は朝っぱらから舞い上がってしまっていた。
カルロスくんはどんな服が好きなのかなぁなんて考えながら、結果少し露出しすぎかなとか思えるくらいのワンピースに身を包んで待ち合わせの場所に向かうと、誰もいなかった。
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「……………」
待つのは苦ではなかったけど、時間を過ぎてもあまりに誰もこないので、心配になる。
腕時計に目を落としたり、鏡を見たりしながら誰かが来るのを待っていれば、私に近づく気配を感じて、はっとして顔を上げた。
「………………へ?」
「………………」
そこに立っていたのは、
カルロスくんでも
Aでも
成宮くんでもなくて、
あの時の、
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あの冷たい目をした
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彼、白河くん。
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「えっ!?え、なんで………」
「……こっちが聞きたい」
相変わらずのローテンションでポケットに手を突っ込んで私を睨んでいる白河くんに、私の背中をつーっと嫌な汗が伝う。
「な、なんで、白河くんはここに…」
「カルロスに行けって言われた…」
「ちょ、ちょっとごめんね…」と一言断って携帯を開いて一番上の履歴に電話をかける。
コール音のなっている間すら、背中に刺さる白河くんの視線が痛くて居心地が悪くてたまらない。
『陽子?』
「A〜…………助けて………」
『ごめん、行けなくなった』
「どこにいるの!?今!」
『成宮のとこ……』
「へ?」
半泣きで訴える私と、申し訳なさそうな声でつぶやくA。
受話器の向こうで、小さく話す声が聞こえて、私の耳に低音が響く。
『もしもし、陽子ちゃん』
「か、カルロスくんっ!?」
『ごめん。俺も鳴も風邪引いて行けなくなった』
「あ、うん。大丈夫?」
『ボチボチ。…………そっちに、白河いる?』
「は、はいいます」
『かわってくれる?』
壁にもたれかかって立っていた白河くんに「カルロスくんです…」と言って携帯を渡せばすごい剣幕で「カルロス…」と電話に出た。
私ははらはらしながら彼の背中を見つめる。
「ふざけるな………な……は?ちょ、おい」
珍しく慌てた様子でぼーっと携帯を耳から離して見つめる白河くん。私は相変わらず冷や汗を流しながら彼を見る。
「………あんた、これからヒマ」
「………へ」
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