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「……デート!どこ行きたい?」
「いいよ。私はどこでも」
頬の熱気が冷めて、ぽろっと普通に言えば、成宮が呆れたようにため息をつく。
「したいこととか行きたい場所とかないの?俺はAちゃんが楽しんでるのが見たいんだけど」
「………じゃあ図書館」
「…ほんと勉強しかないんだね…」
「私にはっ…勉強しかないのっ!」と涙声で言う成宮をテスト用紙でばしっと叩く。
「だってーどうせ、今機嫌良さそうなのも、物理の点数上がったからでしょ?」
「…うん」
「他に好きなものないのー?」
「別に」
「そこは!鳴くんも好きだよ…?って!可愛く言うところでしょ」
「馬鹿じゃないの…」
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「じゃあ、今回は俺が頑張ってAちゃんを楽しませるデートプランを考える!」
「…………楽しみにしてる」
「やっぱり機嫌いいね」
あははと笑う成宮に、今更ながららしくないこと言ったと後悔しつつ、唇を噛んでうつむく。
「あとさ……」
成宮は、私の指に自分の指を絡ませながらうつむく私の顔を覗き込むと、ちょっと頬を赤らめてつぶやく。
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「そろそろちゃんと、Aちゃんの気持ち聴きたいから」
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「…………ちょ……」
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「……………俺はちゃんと好きだから。
Aちゃんもはやく好きになってね。
俺のこと」
女子ならイチコロであろうセリフを囁くように言われて、
上目遣いで見られて、
一応一女子である私も、また顔が上気してくる。
成宮は「真っ赤」と小さく笑うと、私の頬をつんつんつつく。
「やめて」と抵抗しても、「満更でもないくせに」と楽しそうに触ってくる。
…いつも思うけどこの人のここまでの自信はどこからくるの。
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「…………何やってんだ鳴」
「…………あ」
「…………雅さん……空気読もう?」
「お前達ここ職員室の前だからな…」
ノートを持って職員室にやってきたらしい原田さんが私たちを怪訝そうな顔で見て、私のそばからぐいっと成宮を引き剥がしてくれる。
ぶっすーっと不満そうな顔で睨んでいる成宮に原田さんは「……テストは」と真顔で尋ねる。
「追試ぜろっ!」
「よかった…………」
心底ホッとしたように息をはく原田さんをよそに、「やっぱやれば出来る子なんだよねー俺って!」と威張っている成宮。
「…中野。今回の報酬の件、今度話すから」
「ありがとうございます!!」
「なんかAちゃん俺より雅さんに懐いてない?」
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