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「あーっ終わったー！A、遊びに行こう！」
「……………」
「………Aーっ？」
チャイムがなって、私の顔を覗き込む陽子。
放心状態で立ち上がれない私。
「どうしよう陽子」
「え、なにどうしたの」
「………追試かもしれない」
「え？」
「やだ何言ってんのそんなわけないでしょ」と笑う陽子に、笑いかける余裕もない。
そんなわけがあるんだ。
あのあと、家に帰る勇気もなく、早々に登校して携帯を開けば、
良太から「姉ちゃん、鳴さんとお幸せに」という謎のメールが届いていて、
確認すれば昨夜成宮から「Aちゃん今日帰りません」と電話があったらしい。
そんなとんでもない誤解と、成宮の今朝のカミングアウトで、なんにも考えられず、ただ無心で空欄を埋めた。
「とりあえず埋めただけだよ…」
「大丈夫だと思うよー？Aのことだから、ちょっとやそっとじゃ追試なんてならない！」
大丈夫！と励ましてくれる陽子に、若干泣きそうになりながら頷くと、出しっ放しのシャーペンを集めて筆箱に突っ込む。
「Aちゃーん、お疲れ様でしたー！」
いつの間にか私と陽子だけになった教室に、成宮がスポーツバッグを担いで頭に帽子をのっけて登場する。
「ひっ」
「ちょ、A？」
「だから何なのその幽霊見たみたいな反応、俺だって傷つくよ？」
びびった後、陽子を引っ張って無言で出て行く私を後ろからてててっと走って追いかけてくる成宮。
「待ってって！デートの予定決めよ！」とにこにこしながら言ってくる成宮に、私は胸のところがもやもやしてなんか熱いものが込み上がってきて、泣きそうになる。
「もうほっといて…」
「え？」
「だから！もうかかわんないでって！」
「ちょ、Aちゃん…」
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『え、また順位下がったの？』
『だっさ……』
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がんがんと頭が痛くなる。
ブワッと涙が出てきて、くらくらする。
歩みを止めない私の前に回り込んで腕を掴む成宮。
見られたくなくて腕で必死に顔を隠すけど、成宮の力に勝てるわけもなくて。
「………泣いてんの？」
「……………っ私には勉強しかないの！あんたが関わってからもう…むちゃくちゃ………っ」
ふらっと飛んだ意識と、私を呼ぶ陽子と成宮の声が、がんがんと頭に響いていた。
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