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「先輩、ありがとうございました、お疲れ様でした」
「お疲れ、多田野くん」
だいぶ時間が経った。
テスト前日の最後の追い込みを終えて、多田野くんはそそくさと部屋に帰っていく。
私も必死に最後の確認をしながら彼を見送ると、カルロスくんも「んーっ」とのびをする。
「中野っち！終わった！」
「お疲れ様です。…………うん。できてる」
「よーし。寝るかー。鳴まだおわんねーの？」
「黙ってて。今考えてるから」
「へいへい。じゃお二人でごゆっくり。グッナイ」
カルロスくんまでも、成宮の頭をポンポンとして出て行って、食堂には私と成宮二人きりになる。
カリカリとノートにペンを走らせる成宮を見ながら、気を緩めたら落ちてくる瞼を必死に持ち上げる。
「……成宮、あと何問」
「……あと2問」
「……わかった」
まだ先は長いか…私は回らない頭でこれ以上やっても仕方ないと、テキストを閉じて両手で頬杖をついてぼーっと成宮の手元を見つめる。
「成宮、ここ計算違うよ」
「あ…」
「……………なんかさぁ、頑張ってるね」
「え、もっと褒めて」
「………もっとはやく『やーめた』とかいうと思った」
「Aちゃんの中の俺のイメージ最悪だよね…」
「それなりのことやってるからでしょ」
「きっつー」
話しながらペンを進める成宮に、私は重たい瞼を必死に持ち上げる。欠伸を噛み殺しながら起きていると、それに成宮が気がつく。
「Aちゃん眠いなら寝てていいよ」
「…………んー」
「終わったら起こすから」
「………じゃあ少し…」
机に突っ伏して瞼を閉じる。
ここ最近、成宮たちの勉強と自分のテスト勉強でろくに眠れていなかったから、すぐに意識がふわふわし始めた。
遠のく意識の中で、私の頭がわしゃわしゃと撫でられる。
いつものように振り払う気力もなくて、そのままにしていたら、
かすかな笑い声と一緒に「おやすみ」と言う成宮の声が降ってきた。
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