【◇】私と成宮 (ページ25)

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「なぁ、中野っちはちゃんと勉強してんの？」

「へ？」

カルロスくんが昼休みにうちのクラスまでやってきて、陽子の視線を片目に教えてあげていると、ふいにそんなことを言われる。

「俺たちのばっか見てさ、中野っちはちゃんとやってんのかなーとおもって」

「やってるよ。帰ってから」

「え、帰ってから更に勉強してんの……」

「んーまあ…あ、ここの計算違う」
「あ」

計算ミスを指さすと、カルロスくんが慌ててなおす。
なにげにカルロスくんも頑張ってくれてるんだよな。陽子とのデートがそんなに楽しみなのか。

「あ、あの、カルロスくん」

「ん？あーやっほー陽子ちゃん」

勇気を出して話しかける陽子に、私はシャーペン片手にその様子を見守る。

カルロスくんに惹かれる陽子の気持ちは、ここ何日間か一緒に勉強していても分からなかったけど、陽子には頑張ってもらいたいと思ってる。

「が、頑張ってください！」

「ありがとう。……まあ、うちのエースのためにも一肌ぬいでやらねぇとな」

「ほんとに脱ぎかねないからやめて」

「中野っち辛辣ぅ。
ワガママエースに俺たちも手焼いてるわけだからさ、はやく中野っちにはエースの彼女兼お世話役になってもらいたいわけよ」

とんだ迷惑発言だなと言おうとしたところで、バンッと教室の扉が開く。

その音にびっくりしてそちらを見れば、「カルロス！抜け駆けすんな！」と怒りながらこっちにやってくる成宮。噂をすればなんとやらだ。

「なに、成宮」

「なにって！カルロスが一人でAちゃんのとこに行ったって聞いたから、ムカついて来たの！」

「………カルロスくんは別に用もなく来たわけじゃないし……」

「そうそう、中野っちはちゃんと勉強してるのか確認に……」

「それ本題じゃないでしょ」
「え、Aちゃん帰ってからも勉強してんの？」

「えー……信じられん……」とドン引きした顔で私を見る成宮に、カルロスくんと陽子までもが「信じられないよな」と賛同している。

「………授業の復習ごときで何を………」

「うわぁ…たくさんの高校生を敵に回したぜ今」

「そんなに勉強が好きなの」

「………好きっていうか………ずっとやって来たし」

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「……………俺が、勉強より楽しいこと、教えてやるよ」

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いきなり肩に手を回してかっこつけて囁いてくる異常に近い距離の成宮に「いらん」と言うと、「最近反応がものすごく冷たい！！！」と逆にキレられた。

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