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「で、最近どうなの?成宮くんは」
「…まぁ、頑張ってるよ」
お昼。
陽子と二人で自動販売機に飲み物を買いに行きながら話していると、ふいに成宮の話になる。
「え、意外。順調なんだ」
「まあまあね…」
まあまあとは言ってみたものの、正直言って期待以上に成宮は頑張ってくれている。ご褒美を設けてからは、眠そうだけど頑張って起きてるし、覚えてきてと言えばちゃんと覚えてくるし。
…私が多田野くんに勉強教えてあげてる時はウザいくらいに多田野くんにちょっかい出してくるけど。そこはまあ置いといて。。
「あ、陽子」
「なあに?」
「言うの忘れてたんだけど、成宮とカルロスくんが追試免れたら4人で出かけるから」
「…4人って?」
「私と陽子と成宮とカルロスくん」
「……えええええ!?うそっ!?」
尋常じゃなく顔を真っ赤にしてビビっている陽子は、「えっ待って!?待ってA」と言いながらふらふらと歩いている。
がんっと誰かにぶつかって、その方向を見れば暗〜い顔で立っている男子がいた。
「すっすみません!」
「………周り見て歩けよ」
「………」
あまりに冷たい目で見つめられたがためにかちーんと凍りつく陽子。
私もその場でみていると、私の目線に気がついた彼が「…鳴の」とつぶやく。
「……あ……白河くん」
「………」
思い出して彼の名前を呼べば、かたまったままの陽子を無視してつかつかと私の横を歩いて通り過ぎようとする。
すると、私の横でぴたっと止まって、また睨みつけるように
「……せいぜいうちのエースのいいオモチャになってやってよ」
というと、さっと歩き去って行った。
「おっオモチャって………」
私がいつ成宮なんかのオモチャになった。
言い返そうとするともう白河くんはいなくて、イライラしながらかたまったままの陽子を揺する。
「陽子。しっかりして」
「……いや、私が自業自得なだけです。私がクズなんです。ごめんなさい……」
「ちょっと陽子しっかりしてよ……」
嫌悪感むきだしの白河くんに恐怖のリミッターが外れたのか、落ち込むどころじゃない陽子に「ほら、カルロスくんとデートだから心を強く持って」と言えば、
「……そうだね」とまた照れはじめた。
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