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「………いきなりなんの冗談ですか」
「いいじゃん。付き合お?」
「……………………お断りします」
「なんで!?」
目を真ん丸くして本当に驚いたような顔をする。
付き合えるとでも思ってたのかこのひとは。
「別にあなたのこと好きじゃないので。
第一、今日はじめて喋ったし…
というより、俺のこと好きでしょとか言っちゃうような男の人は嫌いなんで」
「………そういうとこが気に入ってるんだよ」
「………ちょ、あの」
帽子とかばんを地面に置くと、こっちにニコニコしながら迫ってくる。
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「……頑固な女の子は嫌いじゃないよ」
私の背中がアスファルトの壁について、
彼の手も、とんと壁に添えられる。
「でも絶対俺のこと好きになる」
逃げ場のないこの状況に、慌てて彼を押し返すと、狙ったように手首を掴まれる。
「……ちょっあのっ近いんっ……ん」
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触れ合う唇。
交わる吐息。
どっどっと激しく打ち付ける鼓動。
いきなりの出来事に制止する私をいいことに、
カルロスくんははむはむとついばむように唇を押し付けてくる。
「……っ」
「………」
「離してよっ!」
「うわっちょっひどいなぁー」
抵抗しても離してもらえなかったから、
ユニフォームの胸元を勢いよく押す。
目の前には口を尖らせて拗ねてるカルロスくん。
ばっと彼から離れて防御体制に入る。
「何するんですか!」
「ちゅーしただけじゃん?」
「あなたバカでしょ!付き合ってない相手に普通こんなことしない!」
「だってAちゃんが物欲しげな顔してたから」
「してない!」
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間違えない。
このひとは関わらない方がいい人だ。
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「今後!わたしの半径2m以内に近づかないでくださいっ!!!!さよなら!!!!」
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キスされた
キスされた
キスされた
初対面のなんとも思ってない男に
どっどっと脈打つ。身体中。
なんなのあのひと。
ありえない。
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『絶対俺のこと好きになる』
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「ありえないありえないありえないっ!!!」
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