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「野球部に勉強を!?」
「うん」
鞄を持ちながら頷くと、「いいなぁ〜!!!」とカルロスくんと勉強か…ととろーんと夢見ている陽子に苦笑いする。
「でもどうして?Aならすぐ断りそうなのに」
「あーまあ……少し交換条件がね…」
「ふーん…」
「私も頭がよかったら行きたいところだけど…知っての通りだから…」と悲しそうに言う陽子に「ごめん、途中まで送って行くから」と謝ると、キラキラして抱きつかれる。
はいはい帰るよーと受け流しているとばんっと教室の扉がすごい勢いで開く。
「Aちゃん!今日は俺と放課後過ごすって言ったじゃん!」
つかつかと歩み寄って来て、私に抱きついたままだった陽子をべりっと引き剥がす。
「俺が抱きついたら拒否するくせに、なにこの扱いの違い!」
「下心の有無」
「え………Aちゃん俺とそんなえっちなことしたかったの………言ってくれればしてあげるのに。ほら」
「おいで!」とドヤ顔で私に向かって手を広げる成宮。
ばかなんじゃないか。こいつは。
バカだよね。
割とマジで引いていると、成宮がわたしの腕を掴んだ。
「ちょ、離して!」
「これから俺と過ごすんでしょ。ほら、行くよ」
「いや、行くけど、陽子をおくってから…」
「あー…陽子ちゃん…、カルロスが送ってくれるらしいから」←適当
「え!?」
ぱぁぁっと嬉しそうなかおになった陽子を教室へ置いて、成宮にされるがままについて行く。
ため息をつきながら睨んでいると、ふいに私のほうを向いてニッと笑う。
「ねぇAちゃん」
「なに」
歩幅を縮めて私の隣に来ると、掴んでいた腕をするっと下におろして、自分の指と私の指を絡ませてきた。
密着する腕と腕に、成宮の筋肉質な手の感触がしっかり伝わってきて、無意識に離そうとする。
離れそうになる私の手を、そのままぎゅぅっと掴む。
「…ね、このままデートとかしちゃおうか」
「…………」
「勉強なんかよりタノシイコト、俺が教えてあげるよ」
「ね、どう?」といつも通りのドヤ顔で覗き込んでくる成宮。
廊下の真ん中で迫ってくる成宮には恥ずかしいとかいう感情はないらしい。
覗き込んでくる成宮をぐいっと押し返してスクバで絡ませてくる腕を叩く。
「ちょ、エース様の腕に!!!!」とぎゃーぎゃー騒いでいる成宮を置いて稲白実業の寮へと向かった。
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