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「昨日結局どうなったー?」
「なんか、青道のひとがデッドボールうけて、ドタバタして終わっちゃった」
「えー!?なにそれ大丈夫なの!?」
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翌日。
陽子と登校しながら昨日の話をする。
昨日成宮から返された単語帳をめくりながら歩いていると、「Aちゃぁぁぁああん!!」と絶叫が聞こえて振り向く。
まあ、想像通り、周りの目を気にせずこっちへ向かって走ってきている成宮が見えて。
「A…あれ…」と苦笑いする陽子の背中を押しながら彼を無視して玄関へ向かう。
「ちょちょちょ、Aちゃん!無視!?この俺を!」
「私はなにも聞こえてない」
「さっき振り向いたよね!?」
相変わらず冷たいなぁーなんて言いながら口を尖らす成宮。
陽子は相変わらず無視する私に焦って「成宮くんおはよー」とか言っている。
「おはよーよしこちゃん」
「だから…陽子って…」
「昨日ご両親にご挨拶まで済ませた仲なのに…」
「は!?ご両親て…結婚!?」
「陽子黙ってて…成宮はもっと黙って」
「AちゃんAちゃんAちゃん、お昼一緒に食べないっ!?」
「いやだ」
「…あのこわーいお兄さんも一緒なんだけど、どう?」
「え?」
一向にあげるつもりのなかった目を単語帳からあげて、
成宮の指差すほうを見ると、
成宮とバッテリーを組んでいる先輩がこっちをみながら立っていた。
大きすぎでしょう。
成宮の倍くらいはあるんじゃないか(ない)と思われる先輩は、私の方をじーっと見つめながら立っている。
なんでこの人が面識もない私なんかと一緒にお昼?
「いやだ」
「えええ!?A!?」
「怖いよ!?雅さん超こわいからもしかしたら食べられちゃうかもよ!?」
「食べねーよバカ…頼む、中野。昼じゃなくてもいいから時間作ってくれ」
「…」
あんまり面倒ごとに巻き込まれたくないんだけど、先輩に頭をさげられているこの状況に、周りの好奇の目が刺さっていたい。
わたしは渋々頷く。
「…わかりました…」
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