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誰がお前のだ。
と思いつつも、まだ声がでなくて成宮の胸の中で動けない私。
メガネの彼は、苦笑いで頭をかく。
「…………あーえっと…なに?
その子、鳴の彼女?」
「………そんなとこ」
「………ちがっ」
「Aちゃんはちょっと黙ってて」
「………はい」
否定しようとすると、掴んだままの右手にぎゅっと力がこもっていたかったから、口を閉じる。
「一也ー。俺のだから今後、ちょっかい出さないでね」
「はいはい。ていうか今も別に手ぇ出してたわけじゃねぇよ。彼女、迷ったらしいから」
「………迷ってたの」
「………うん」
はぁっとため息をついて、帰るよと私の手をそのまま引いて行く成宮。
この無意味な手をすぐさま振り払ってしまいたいところだけど、振り払ったところで自力で青道高校から出られる気がしないので、されるがままについていく。
「じゃーな鳴」
「また予選でねー」
メガネ君の方を振り返らずにひらひらと手を振って成宮はずんずんと歩いていく。
黙ったままついて行くと、校門がみえてきた。
「………成宮、手、はなして」
「………さっきのはさぁ、黙って触られるAちゃんにも問題があると思う俺」
「聞いてんの」
「Aちゃんが誰かに触られんの見てるとおぞましい気持ちになってくるんだよね…」
「はぁ?」
「俺以外の男に気安く触られんの禁止ね」
さっきの冷たい怒った顔から一変、ぷくーっと頬を膨らませて眉間にシワを寄せて私を睨む成宮。
いつもの成宮に戻った途端にさっきのマウンド上の彼の姿が蘇ってきて、かぁあっと身体の奥から熱くなる。
「意味わかんない!私別にあんたの彼女じゃないし!」
「これからそうなるんでしょ!」
「ならないから!」
成宮の手を振り払って校門へとずんずん進む。
なんで成宮の自分勝手な言動に顔熱くしてるの、私。
「あー暑い!家帰る!」
「送るよAちゃん!」
「結構です」
「また迷うよー?」
「………」
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