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行かなければ。
_『弟子なのに手加減無しなの』
行かなければ。
_「金がいいんでな。お前に邪魔されるわけにはいかねぇ」
行かなければ。
_『私が勝ったら、ダッツ買ってよね!』
その一心で私は動いている。
_『……五条が居ない、まさか』
嫌だ。
『血の匂い…?』
嫌だ嫌だ
『……、甚爾さ、』
そこには左腕から横腹が完全に吹き飛んでいる伏黒甚爾の姿が。
『っ甚爾さん!!!!』
駆け寄った時には微かに息はある状態、流石フィジカルギフテッド。なんて冗談は考えている暇はない。どうにかして師匠を治さないと。
硝子に頼む?
せっかくここまで甚爾さんとの関係を隠したのに全部無駄にするのか。
いや今はそんなことを言っている暇はない、硝子をここに
携帯を取り出し触っていると目の前から手が伸びてきて、その携帯を取り上げられる。私の目の前にいる人物なんて、一人しか居ない。
「…無駄な事、すんな」
『やだ、甚爾さん……息が、尚更』
「A、俺の息子、恵の事だ。
今後アイツのことを頼めるのは、お前くらいだ。」
『……そんなの、甚爾さんの息子だし、恵くんの事は私に任せてもいいけど!』
彼は手に持っていた携帯を地面に置き、そのまま腕をこちらに伸ばしてきて、頭を撫でてくれる。
恵くんの事だって、本当の父親に育てられた方が幸せだ。
『甚爾さん…私まだ弱いよ』
「……大丈夫だ、お前は、」
そこで、甚爾さんの手が頭から離れる。電池が切れた人形のように重力に従って落ちる腕を思わず掴む。そのままその腕を顔近くに持ってくる。
彼は死んだ。
嫌だ、認めたくない。
でも彼は動かない。
[Aが泣いている]
[笑顔にしてあげないと]
そんな声が聞こえたと思えば、ポンと肩に誰かの手が乗る。五条か夏油だろうと振り返るがそこに立って居たのは
甚爾さんだった。
私の目の前には確かに彼の死体がある。
でも私の後ろにも彼が立っている。
しかし、五条に吹き飛ばされた部分を見てみると到底人のものとは思えない、ゴツゴツとしたまるで岩のような肌に手には鋭い爪が生えている。
それでも、その彼にすがってわんわんと泣いてしまう。
甚爾さんには呪力が無い。
なら、彼をこうしてしまったのは私。
私が甚爾さんを呪ってしまったのだ。
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七巳流 - 答えられないのだが、パスワード教えてくれ。 (2022年7月16日 12時) (レス) @page33 id: 5347ef430e (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり - 完結おめでとうございます。素敵な小説でした。次の作品「10譛?1譌・19譎よク玖ーキ-繝上Ο繧ヲ繧」繝ウ」のパスワードを教えてください。 (2021年7月14日 7時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)
ツバメ - 完結の後話も甚爾さんと夢主さん絡みの事なのでしょか? 見れないですもっともっと出来れば二人の事見ていたいです (2021年7月13日 1時) (レス) id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
つばめ - 悲しい所もあるけど甚爾さん達の所もっともっと続きが見たい甚爾さんと五条さん絡みも (2021年4月29日 1時) (レス) id: e61b67cd9c (このIDを非表示/違反報告)
杜若(プロフ) - マリアさん» コメントありがとうございます!甚爾さんの話書きたすぎてこじれた結果がこの作品です……のんびりゆっくり更新しますので気長に待ってもらえれば嬉しいです…… (2021年4月4日 12時) (レス) id: 06c98d5373 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:杜若 | 作成日時:2021年4月3日 9時