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そういえば鞄の中に入れっぱなしになってる折り畳みがあるはず、そう思ってカバンを漁っていると目の前の紫原は｢あ｣と何か思い付いたような声を出す。
｢大ちん、タオル持ってな〜い？｣
『持っているけれど』
｢濡れて冷たいから頭拭いて〜｣
そう言いながらこちらに頭を向けてくる紫原に思わず驚く、仕方なくタオルを取りだして彼の頭に被せてあまり力を入れないよう優しく拭いた。そんな事をしていれば｢居た居た｣と横から声が聞こえてきた、そちらを見れば辰也がこちらへ走ってきていた。
カバンの中から折り畳みを取りだし、紫原に『傘に辰也を入れてあげて』と言ったが、言われた本人は｢え〜？｣と不満そうである。
｢室ちんに折り畳み傘貸せば良くない？｣
｢俺と敦が同じ傘に入ったら狭いし、俺がソレ借りるよ｣
辰也は私の手の中の傘を取り、開いて自分の上へさした。まぁ体のデカさ的にもよく良く考えればこうの方がバランスはいいのか。
辰也はタオルで濡れた部分を拭いて｢どうしようか｣と空を見ていた。
｢A、雨降ってるけど帰らなくて大丈夫かい？大我達は帰ってるよ？｣
『あー、いいよいいよ、呼ばれただけで一緒には行動してないし
それに辰也が私と話したいってさっき言ったじゃない』
｢分かった、雨宿りついでにどこかお店に入ろうか｣
すると紫原が｢お店！｣と目を輝かせる。確かこの近場に良いカフェがあったはず、そこに行くか。二人に近場にカフェがあると告げると紫原は更に目を輝かせ、辰也は｢じゃあそこに行こうか｣と笑った。
じゃあカフェまで移動するか、と言う時に電話がかかってくる。開けば大我からだった。まぁ出ない理由も無いので素直に出る。
私が喋りはじめる間もないくらい開口一番に｢今どこだ？｣と言われる。
……辰也は紫原が隣にいたから分かりやすかったとはいえ 紫原は私の事見つけられたんだから、見つけてもらわないと困るわよ。
『今紫原クンと辰也と一緒に雨宿りついでにカフェ行こうって話してたの、別に私アンタに呼ばれただけだしこの二人と行動しちゃうね』
〈紫原と辰也が一緒に居るのか！？〉
『そ……ま、アンタの話はいつでも聞けるからまた今度聞くよ
色々聞きたいし』
〈分かった、じゃまた部活でな〉
『うん……さてと、カフェ移動するか』
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作者名：杜若 | 作成日時：2024年2月12日 23時
