【爆豪勝己】仮面王女の鎖

17. 違和感 ページ19

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「私は…幸せですから」



だからその顔だ。

見てる俺までどこか心がざわつく。


コイツは素性を明かさなかった。



それにはどこか理由があるのだろう、
もしかしたら家柄を明かすなと言われている
可能性だってある。


貴族の中でも…相当上流の家なのは違いねェが

それに比例するように、コイツは縛られてる。


Aは俺に真意を見透かされるのを恐れているかのように見える。



コイツは恵まれている

何分か前まではそう思っていた。



だけどどこか違う。俺らには想像出来ないような
見えない何かが、コイツを縛っている。




「…実は、今日初めて

私はベルガラールの街を歩いたのです。


普段は…家の中にずっと居るので
本当に今日は新鮮な1日でした。


そして、爆豪さんにも出会えた。



…私を気遣う言葉を掛けてくれたのも、
私と対等な立場でお話ししてくれたのも

貴方が初めてでした。本当にありがとう」






今日初めてベルガラールを歩いた？

そんな事あり得ンのか？



僅かに違和感を感じる。



ただ、それを聞く前に



店の扉が開いて、明らかにベルガラールの人間
であろうスーツの男が入ってきた。





すると咄嗟にAは、俺の腕を引きつけて
耳元で囁いた。




「…私の名前を、彼の前で出さないで」



「は…？」

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