16. 模範解答 ページ18
・
ステラだと名乗ってはいけない状況で、
とっさに彼についた『嘘』は
自分の本当の名前だった。
忘れかけていたその名前の響き。
だけど心のどこかでは必ず残っていた。
だから、彼が私の名前を呼んでくれた時
嬉しかった。
『嬉しい』なんて思うこと自体が、私には
滅多になくて、
取り決められた笑顔を見せるだけで精一杯で。
「お前はそれで良いのか?
無理してんだろ、言葉遣いも表情も。
家ン中でもこんな感じなんか」
爆豪さんには見透かされてしまったようだ。
…それで良いのかどうかを判断する権利は
少なくとも私には無い
それが模範解答だとも理解していた。
そして、それは口に出してはいけない事も
分かっていた。
絵や、何かの映像に写る異国の人々は
大きな口で、歯を出して笑っている。
彼らはみんな、幸せそうだった。
ふと、鏡の前に立った時
彼らの真似をしようとした事がある。
とても簡単そうに彼らは笑えていたのに
私にはどうしても上手くいかない。
理由は簡単だった。
私は幸せでは無いから
私には自由に笑う事は許されないから
そして、例えそうだとしても
私は幸せなフリをして、上品に笑い
気品溢れるプリンセスを演じなければならない
______今でも…もちろんそう思っている。
だけど
市民の幸せと自由のために戦うヒーローに
少しだけ、感情を揺さぶられた。
名前を出した事がいけなかったのだろうか。
私がもし…『ステラ』を捨てて
普通の1人の人間に戻れるのなら、と。
もしそれが叶うのなら
自由に笑いたい。1人で街を自由に歩きたい。
幸せに…なりたい。
あぁ、彼のようなヒーローが
私のそばにいてくれたら良かったのに。
もし居てくれたなら_____
…いや、もう考えるのは止めよう。
私はまた、いつものように笑う__つもりが
「…えぇ、でも大丈夫です。
私は……幸せですから」
彼の納得していない表情を見れば見るほど、
自分が笑えているかどうか、不安になる。
それならいっそのこと
彼はもう2度と会わない人だろうし
自分の事を少しくらい話してみても
良いのかもしれない。
430人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Mona(プロフ) - アヤさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます( ; ; )これからものろのろ更新ですが気長に待って頂けると嬉しいです!これからもよろしくお願いします(^^) (2019年12月8日 0時) (レス) id: bb0d022ee1 (このIDを非表示/違反報告)
アヤ(プロフ) - 早く!続きが読みたくて、うずうずしています。かっちゃんとステラの葛藤が待ち遠しいです。いつまでも次の話待ってます(*´ ˘ `*) (2019年12月7日 10時) (レス) id: ffe771d046 (このIDを非表示/違反報告)
Mona(プロフ) - あすまさん» ありがとうございます!これからも亀更新ですが頑張りますね( ; ; )よろしければ他の作品も覗いてやってください(^^) (2019年11月27日 22時) (レス) id: bb0d022ee1 (このIDを非表示/違反報告)
あすま(プロフ) - 最後までいっきに読んでしまいました!とっても面白いです!更新楽しみにしています!応援しています頑張ってください! (2019年11月25日 1時) (レス) id: 0aabcfb8f7 (このIDを非表示/違反報告)
Mona(プロフ) - siroさん» ありがとうございます!これから面白くしていくつもりですので最後まで見届けて頂ければ嬉しいです(^^) (2019年10月18日 22時) (レス) id: bb0d022ee1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:mona | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=academia1st
作成日時:2019年9月27日 20時