近くて遠い《2》

P.95〜kotaki side〜 ページ48

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泣きながら飛び出して行ったA。


シーンと静まる寝室で1人ため息を吐く。






小瀧「なんなん。」






久々に風邪引いてめっちゃしんどくて。



何となく、Aに会いたなって気付いたら電話しとった。



したらすぐに駆け付けて、雑炊まで作ってくれて



帰るなんて言うけど、まだおって欲しくて引き止めた。






昔話しとったら七瀬の話になって






『小瀧は、今幸せ？』






なんて問いかけてきた。






幸せなんやろか、俺。



好きな女とより戻したくせに、なんかちゃうねんな。



何がちゃうのか自分でも分からんくて



Aの問い掛けになんて答えていいのか迷うたけど心配掛けたなくて






小瀧「………おん、幸せやで」






そう、答えてみた。






『私さ……結婚すんの！』





突然、告げられた結婚するって話。



しかも相手は海外転勤決まっとってついていくって。



それを聞いた時、心臓がぎゅーって潰されそうな感覚が俺を襲った。






結婚って何？しかも海外？



近くにAがおらんくなるん？



いや、全然話についていかれへんのやけど。






この間、プロポーズ受けてね？



って、めでたい話やのに



なんでそない辛そうなん？



なんでそない無理してん？



なんで泣くん？



無理して笑って、私幸せですって自分に言い聞かせてるような



そない顔されたら、素直に祝福できひんやろ。



おめでとう、幸せにしてもらい？なんて言われへん。






『玄関に置いてある私の鍵もらってくね？

私が持ってた小瀧の鍵もそこに置いて行くから。』






そう言い残して出て行ったA。



風邪のせいやからか、追っかけたくても体が動かへんくて





小瀧「……どこにも行かんといてや。」






そう呟くことしかできひんかった。








続く

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