近くて遠い《2》 (ページ46)

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居るって言ったのはいいけど

いざ話そうとすると何を話せばいいのか分からない。

小瀧「なぁ」

『んー？』

小瀧「前にもこんな事あったん覚えとるか？」

『えっ？』

突然、昔話を始めた望。

小瀧「風邪で学校休んだだけやのに

お前泣きそうな顔して俺ん家に乗り込んできて」

あー、恐らく小学生の頃だ。

そんな事もあったなぁ。

小瀧「俺のおかんがただの風邪やから大丈夫や帰り？言うても

嫌や帰らへん！言うて聞かんくて」

『ふふっ』

小瀧「しゃあなし泊まらせたのはええけど、翌日俺の風邪移ってな？」

『ばかだよね、ほんと』

小瀧「ほんまアホやで。」

『なんか、懐かしいね』

小瀧「懐かしいなぁ」

「…」

『…』

小瀧「けど、嬉しかってんで？」

『へ？』

小瀧「心配そうに手握って、ずっと側におってくれたやろ」

『そう、だっけ』

小瀧「のんちゃんが辛そうなん見てられへんから代わってあげたい。

なんて、ませた事言うて。」

やだ、ただ昔の話聞いてるだけなのに何で泣きそうになってるの私。

小瀧「思い返してみると、俺がしんどい時いつも側におってくれたな」

それは望だって同じだよ。

私が辛い時、いつも側に望がいてくれた。

小瀧「やんちゃして怪我して帰ればおかんより怒って」

『……』

小瀧「七瀬に振られて荒れてた時も

お前に当たってどんだけ酷いことしても側におって」

『……うん』

小瀧「ほんまにありがとうな」

『……どうしたの？変だよ、小瀧。』

小瀧「なんか今言うとかんとあかん気がして」

何かを察したように、そんなこと言ってくる望。

せっかく覚悟決めたのに…。

そんな事言われたらまた気持ち揺らいじゃいそうになるじゃん。

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