近くて遠い《2》 (ページ43)

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『いやいやいや、おかしいやろ』

《母「何もおかしい事あらへんよ？

お父さんにも聞いてみよか？

望やったらええって言うと思うけど

他の人やったらあかんって言うで」》

『いや、待って？

なんで私の結婚相手を勝手に決められなあかんの』

《母「望やない人が息子になるんは絶対嫌や！」》

『理由になってないんですけど。

私が結婚したい思うて選んだ人やで！？

せめて、会うてから判断して！』

《母「会わんでも分かりますぅ～！」》

『もうー！お母さんのわがままに付き合うてる程時間ないねん！

12月には相手の人海外転勤やから、それの準備もしなあかんし』

《母「はっ？…あんたまさか着いて行くなんて言わへんよな」》

『いや、ついて行くやろ！

その為に結婚すんねんから』

《母「絶対あかん！！余計に好かんわその相手！

挨拶も何も来てへんのに、大事な娘を海外に誘いよって！

ぜーーったいあかんで！」》

『あかんとかやなくて……

とにかく、近いうち連れて行くから』

《母「嫌や、会いたない！

望やない人と結婚なんて望のおかんに何て言えばええん…」》

『別に私が結婚するって言えばええやん』

《母「あかんあかんあかん。

とにかく会わへんからな！

連れてきたってぜーったい会わへんから！」》

『あっ、ちょっ！』

まだ話終わってないのに、勝手に切られた。

『もー！何なん！』

腹立つー！

母の態度にイライラしてると再度鳴り出すスマホ。

『もしもしお母さん！？

まだ話終わってないのに切らんでよ！』

勝手に母だと思い出ると、相手はまさかの望だった。

《小瀧「おかんやないわ、俺や」》

何やらいつもより声が弱々しい。

『へっ、あっ！ごめん。』

《小瀧「ちゃんと画面確認してから電話出なあかんで」》

『ごめんごめん。

どうしたの？何かあった？』

《小瀧「冷えピタ持ってへん？」》

『もしかして、風邪？』

《小瀧「らしいわ」》

『ちょ、大丈夫？

待ってて、すぐ行く！』

本当に今にも死にそうな声。

こりゃやばいと思い慌てて電話を切って

冷えピタと何か食べ物を作れるように軽く食材を持ち出した。

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