近くて遠い《2》 (ページ5)

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『か、彼女！？』

咲良「えっ、違うの？」

『違うよ！まだ仲の良いお友達！』

咲良「はぁー？社内で噂になってるよ？

最近、西島さんのこと名前で呼んだり

距離近いから私もてっきり付き合ってるもんだと思ってた」

『誰がそんな噂、、』

咲良「私じゃないからね！？」

『分かってるよ』

咲良「まぁでも、その感じだと遅かれ早かれ噂も事実になりそうだね」

『えっ？』

咲良「だって、"まだ"仲の良いお友達なんでしょ～？」

なんて、茶化した様に言ってくる。

『ちょっ、うるさいなー！』

隼人くんと付き合ってるなんて噂になってるのも知らなかったけど

そんな事より、海外転勤だって話の方が気になる。

私全然そんな話聞いてない。

どうして話してくれないんだろ。

プライベートで会ったりしてるのに、そんな事一言も言ってなかった。

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お昼休み、隼人くんと休憩室で会った。

『あ、隼人くん』

西島「あ、Aちゃん！」

『バタバタと忙しそうだね？』

西島「今、取引先との商談して戻ったところ。

やっと休憩できたと思ったら、また別の取引先に行かないとだよ」

『何か手伝えることある？』

西島「んー……じゃあ」

こっち来て、と自販機の陰に手招きされる。

『ん？』

不思議に思いながら駆け寄るとグイッと腕を引かれギュッと抱き締められた。

『ちょっ、隼人くん？』

突然の事で驚く。

西島「ちょっと充電させて？」

そう言われて理解した私はそっと彼の背中に手を回した

西島「っ…」

一瞬驚いた様な声を出す彼。

『午後も頑張ってきてください』

そう言ってゆっくりと体を離すと、満足した様な笑顔を見せた。

西島「すっごい頑張れそう、ありがと」

ポンポンと私の頭を撫でる。

『ふふっ、どういたしまして。

でも無理はしないでね？手伝えることがあったら言って？』

西島「ありがとう」

そうして隼人くんと別れ、仕事へと戻った。

『ふふっ』

咲良「なに～？ニヤニヤしちゃって気持ち悪い」

『別にー？』

抱きしめられた時、完全に会社であることを忘れてて

結構大胆なことしたな、と今更恥ずかしくなって照れ笑い。

そんな事思うようになったのも気持ちの変化の表れなのかな。

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